著者の橋本美香氏。音楽が真ん中にある根性の人である。実は長い歴史を持つアイドルグループ、制服向上委員会(SKi)のかつてのメンバーであり5代目リーダーで現在は会長職。
自叙伝的内容を期待すると、軽く予想を裏切られるかも知れない。何故なら本書は、アイドルビジネスで如何に成功を収めたか、長く続けていられるか、どのようにメンバーをマネジメントしたか、といった点に焦点が当てられているからである。
アイドルを若さと媚だけ、脱がずに齢をとったら使い捨てられる存在と蔑まず、誰のこころの中にも存在する輝ける存在として磨きを掛けていく。それを目指すために必要のないものは切り捨てるが、社会の中での自己の考えや芯を研鑽するための情報はどんどん提供し行動させる。
そこから出てくるものが偽物だったり、子供じみた反骨である訳がありません。口パクなし、パンチラなし。もちろんクオリティは様々でしょうが、本物かあるいはその卵である事に間違いありません。
2012年春にキャンペーンが行われている「GK宣言」など本来、件ののグループではなく、以前から若者の自殺問題をテーマにした「STOP! STOP! STOP!」
STOP! STOP! STOP! 制服向上委員会を唄っているSKiが担うべきものです。
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制服向上委員会が好きな人にはとても素晴らしい贈り物で、中身がぎっしり詰まっている。選択された楽曲は代表的なもので、このグループの歴史と特徴を知ることができる。惜しむらくは「ダッ!ダッ!脱・原発の歌」・「原発さえなければ」・「世界・自由・アメリカ」・「涙のエチュード」が収録されていないことで、隠しトラックとして入っているかなと期待したが収録は見送られたようだ。選曲には苦労したんだろうなと予測される。この際、上記の強烈なメッセ−ジソングや「ディゼール」・「悪魔 NOだっ!民主党」・「鼻くそMANが行く」などのとんでもない曲を集めた裏ベスト盤も企画して欲しいと願う。
しかしながら、「時代は
サーカスの象にのって」の別バージョンや新録の曲を聴くことができる上、映像も豊富で、大変価値の高いセットであると思う。楽曲を聴いていると元気が出る。可愛い歌声の中に理念が感じられ、自分達が歌う意味について彼らが真剣に考え続けてる姿勢が垣間見える。
全体を鑑賞後に感じるのは、制服向上委員会の強靭な生命力である。他の、後追いの似たような女性グループが将来消えて行った後でも、制服向上委員会は活動を続けていることであろうと予想される。