TVアニメ「みつどもえ」、これほどまでに製作
スタッフが原作に敬意を表し、それでいて原作に忠実ともアニメらしいアレンジを加えるとも違う「原作と同等」の「もうひとつのオリジナル」を作り出した例を私は他に知らない、
本作のアニメ化が報じられた際に、ファンの多くは「美少女3姉妹」を中心とした鉄板的テンプレートな萌アニメとしてアレンジするのだろうと思い込んでいた、
だが本作のシリーズ監督「大田雅彦」氏は当初からそれを否定する旨の発言をしていた、
そして放送が開始された本作「みつどもえ」はそのあまりに「原作どおり」の濃さに、一部アニメファンの不評を買うに至った、だがそれは全て制作側の「想定内」だったのではないか?
主人公であるみつご「みつば」「ふたば」「ひとは」のキャスティングにもそれは見られ、
多くのファンがツンデレスキルに長けたキャストを望んでいた「みつば」に、ハラワタを搾り出すような体当たりの演技で挑んだ「高垣彩陽」氏、
天然系の愛らしいボイスを望んでいた「ふたば」に度を越したイノセントボイスをもつ「明坂聡美」氏、
不思議ちゃん系のキャストが望まれた「ひとは」に制作側の思惑を超えた面白芝居をやってのけた「戸松遥」氏と、全てがファンの思惑とずれたところに着地、しかしこのキャスティングが「もうひとつのオリジナル」と評したい「アニメ版みつどもえ」の屋台骨となることに、、
そしてキャラクターデザインに関しては、原作者が想定していた「マイメロ」や「パワパフZ」のような均整の取れた美少女キャラではなく、「まるで栗鼠のようだ」と一部ファンに揶揄されたげっ歯類系の顔、しかしこのキャラクターデザインこそ本作の持つ「中身の濃さ」を原作に比べて減することなきように取り入れられたものであった、特に主人公格の長女「みつば」は原作マンガではかなりの「美少女」なのだがアニメではかなり個性的な顔立ちをしている、原作マンガをアニメ化す際にヒロインキャラは原作以上に美少女化することが定例となったアニメ界(その昔、TVアニメ黎明期には、美少女を描くスキルが多くのアニメーターに備わっていなかったため、ヒロイン以外の女性キャラが原作に比べてブスにデザインされることが多かった、サリーちゃんのよっちゃん、アパッチ野球軍のダイコン等)においてむしろブスの記号を取り入れたと思われる彼女のデザインは驚愕すべきものだったが、このことがキャラクターの内面をストレートに表情に表し、人物描写に深みを与え、結果的に「アニメみつどもえ」に登場する少女たちに本作独自の「可愛らしさ」を齎しているのだ。
本作は2010年夏にワンクール13話放送され、(本商品にはさらに14話目の新作も収録、)さらに2011年初頭にはわずか8話とはいえ、第二期が放送、また大きなファンイベント「みつどもふぇす」も二度にわたって催された、(しかし放送の終了とほぼ同時期に原作の長期休載が続いてしまっている、)
アニメに限ったことではないが、創作物には初めて見たときには面白いが見返すとすぐに飽きが来てしまうタイプのもと、何度も繰り返して見て楽しめるものとがある、
本作「みつどもえ」が後者であることは、いまさら私が言うまでもない。