シリーズ初のギャラクシー大賞を「
カーネーション」が受賞した事などもあり、
「ながら見」も多かった朝の連続テレビ小説=朝ドラの過去作品や歴史に
改めて興味を持った人が増え、本作の著者もその一人でしょうか。
あくまで個人が直に観た作品を中心に
調査や取材を行った著書のため
一つの作品を徹底検証したものでも全ての作品を万遍なく取り上げているわけでもありません。
「すずらん」の放映年が(1991年)となっているページがあったり、
「はね駒」を熱心に調べて脚本家・寺内小春氏の名前も出てくる割に、
この人が「おていちゃん」「なっちゃんの写真館」も手掛けていることは失念していて、
シリーズ中で複数の作品を手掛けた脚本家に名前を挙げていない。
(三作品とも名作といって差し支えなく「春よ、来い」で物議を醸した橋田氏より評価している人もいる)
ただ朝ドラ製作の創生秘話や裏事情にはそれなりに踏み込んでいます。
また「おひさま」のヒロイン絶対主義、
「梅ちゃん先生」の評価と視聴率の乖離(←これの対極が「ちりとてちん」)等、
主演女優がまだ若くて売出し中の近年作は暗に揶揄するような表現をとっていますが、
「純情きらり」(2006年)辺りより前は時効という感覚か90年代の話題作を中心に、
当時の週刊誌評価なども交えて自身の感想を思い切りよく書いてくれています。
(「君の名は」など容赦なし!)
古い作品は大河ドラマに比べてもフィルムが残っていない事もあり、
あっても商品化されておらずBS枠の再放送などを待つしかない事もある朝ドラ過去作品に
本書などが切欠で、より多くの人が興味を持つ事でオープンになって欲しいと思います。