過去の魔王の子供達の単行本を一冊にまとめた完全版。
内容は人類と機械軍が戦争している世界で、人類が魔族と
出会って、元ゲリラ女戦士と魔王が結婚して、子供が2人
生まれて、その子供達と仲間たちが繰り広げる、地球規模の
デストロイなドタバタホームコメディといった感じ。
世界観からしてターミーネーターなのだが、それだけに
限らずダイハードやスペースバンパイア等がドタバタ
ホームコメディとして換骨奪胎され、そこに高橋留美子の
ラブコメや、機械と魔法と美少女と獣人が共存する世界観を
ミックス。所々に80年代〜90年代の漫画・映画・アニメの
影響を感じさせる内容になっている。
(話の
タイトルもほとんど映画から引用されている。)
そんなパロディ漫画なのだが、元ネタが分からなくても
楽しめるのが好感持てる。何よりどの話も描き方を変えたら
殺伐としたシリアスな話になりそうな内容をSFドタバタ
コメディーに換骨奪胎してしまうセンスも含め、4〜8ページに
上記の内容を詰め込む技量はさすがと思う。
この漫画を一言で言うなら80年代〜90年代漫画・映画・
アニメの総合デパートって感じ。リアルタイムで見ていた人や
パロディ好きにもオススメ。
「メカと美少女」をモチーフに盛り上がっていた、80年代後半のサブカル時代。
その時代に
彗星のごとく現れ、「ペンギンクラブ」「漫画ホットミルク」などの黎明期の美少女コミック誌で巻末の4P漫画を連載していた著者の90年代の商業作品の集大成的な作品集。
80年代末期に「ペンギンクラブ」で「魔王の子供達」が始まる直前の試行錯誤の作品を見て、その絵柄の先進的なポップさと海外SFへの造詣の深さとベタさにショックを受けて以来のファンです。
絶頂期だった93年ごろにバイク事故で入退院して以降、商業誌での勢いが衰えざるを得なかった不遇の作家です。
「萌え」とか「ポケモン」とか、今主流の日本の映像作品の絵画や造型や話の「ノリ」みたいなものに少なくない影響を与えて来た重要な作家だと思っているのですが、オタク世間的には評価があまり高く無いような…時代よりも一回り近く早かったんでしょうね('・ω・`)
舞井武依氏自体は今も先を進みつづけていますが、商業的にはあまり表に出てきていないようです。
放置するには惜しい作家さんだと思うんですが…('・ω・`)