オリジナル発売は‘73年である。 「はっぴぃえんど」がアメリカのウエストコースト・サウンドに、日本語を乗せた最初のロックグル−プとして、名作「風街ろまん」の評価と共に日本ロック史に常に取り上げられるのだが、忘れてもらっては困るのが、このミカバンドのデヴューアルバムである。
音はもろブリティッシュ、
ロンドンである。殆どの詞を作詞家の松山猛が書き、リーダーの加藤和彦が作曲しているが、「はっぴぃえんど」がわざと日本語のアクセントを無視して曲に乗せているのに対して、全くストレートに、詞の一字一句が音符にあっている。だから歌の内容(銀河をイメージした統一感のある詞)とヴォーカルが素直に心に入ってくる。
それに加えて特筆すべきはメンバーの演奏技術の高さだ。いくら音楽センス抜群の加藤でも、そのイメージを具体化するには強力なメンバーが必要だった。当時、殆ど無名だったメンバー(高橋ユキヒロ、20歳!)のその後の活躍を見るにつけ、加藤のメンバー・チョイスのセンスは先見の明があった。 ミカのキャッチーなボーカルと存在もこのバンドを象徴している。
サテンの
スーツにフライングVのギター、グラム、ブギのリフ、ファンクなリズム・・・33年後の今聴いても、全く古さを感じさせない。2ndの「黒船」の高い評価はよく耳にするが、この1stの“センス”はもっと再評価されてもいい。「アロハ」の
ジャケットですぞ!
発売当時の思い出。クリス・トーマスのプロデュースということもあって洋楽ファンの間でも話題になった。「黒船」という
タイトルや曲名で『やはり安易にもエキゾチック・ジャパンを売り物にするのか』という思いを抱きつつ音を聴いてビックリ!高中正義のギターは無茶苦茶格好いいし、印象的なイントロやリフが随所にあふれている。「タイムマシン~」や「塀までひとっとび」のイントロは今聴いても大好きだが当時は本当に痺れた。けっこうファンキーな音作りだが、これも当時とすれば最先端だった。
ありきたりな表現だが、時代を超えた名盤だ。
サディスティック・ミカ・バンドがこれほど持ち上げられるのが最初の頃は不思議でした。
「
黒船」は、殆ど日本では評判にならなかったと思います。
イギリスで人気になった日本のロックバンド。しかも加藤和彦がリーダーで、クリス・トーマスがプロデュースして、と。日本のロックバンドだから流行らなかったんでしょうね、きっと。
社交ダンスみたいなもんで、日本人がロック?というのが日本の音楽ファンの反応だったと思います。
しかし、アーティストを目指す音楽家の卵達には衝撃的な音であったようです。
この作品の中で、加藤和彦さんも仰っていますが、きっかけはキリンのCMのための再結成だったようです。
が、サディスティック・ミカ・バンドは何年かおきに集まってますね。実は、その度に人気が高まっていってるように思えるのです。
木村カエラさんの前は、桐島かれんさんがゲスト・ボーカルでした。ユーミンと一緒に、やったこともありましたし、メンバーはいつも近距離にいたのではないかと思います。
35年間で、日本の音楽シーンがミカ・バンドに追いついたともいえますか。今このビデオで見ると、違和感ないですから。
インタビューに重きが置かれているこのビデオですが、今見ると、加藤和彦さんが最初の登場場面で「ベリー、ベリー、タイアード」と言ったり、インタビューの途中で「生きているのも趣味のようなもんだし」などと発言しているのが気になったりします(後付ですが)。
35年間進化を続けたバンドの姿を確認することができます。
それにしても、木村カエラさんは、上手いですね。メンバー全員が褒めていますが、確かに、オリジナルのミカさんよりも嵌っているように見えました。
いまもって愛聴(視)盤です。特になぜか最近は2日に1回は見るかも(あほか)。桐島かれんさんの妖艶な歌声に惹かれてよく聞きます。ミカバンドには3人のボーカルがいたことになりますが、カエラちゃんも好きですが、ミカバンドという意味ではこの桐島かれんさんが断トツだと思ってます。なんせ色っぽい。ため息がいい。「ダシールハメット&ポップコーン」なんか是非ともDVDを見てほしいです。色褪せないですね。技量ともに卓越したバンドです。特に当時出た「晴天」の出来がよく、名作「黒船」との2枚からいいとこが集められ、さらにそれまでのややコミカルな楽しい曲(ファンキーマージャン・・・とかね)がちりばめられ実に楽しいですよ。