ようやくアシャンティの新作を聴くことができました。相次ぐリリース延期で実に6年ぶりの新作となってしまいましたが,キュートなのに凛とした歌声は健在で,まずはホッとひと安心。
悲壮なまでにシリアスなイントロに続いて流れる
タイトル曲「Braveheart」は哀感を帯びたピアノを基調としたミッドテンポで,凛とした歌声が彼女の決意の固さを象徴しているようで印象的です。
メロウでスムースな「Nowhere」は,何処となく切ないメロディーにアシャンティのキュートな歌声が見事に調和した胸に染みるナンバー。「Runaway」は,サスペンス映画のBGMを思わせるスリリングでメロディアスなサウンドに凛としたヴォーカルが何ともカッコいいですね。同系の「Scars」も,孤高を思わせるシリアスでビターなメロディーが最高です。個人的にはこの3曲を特に推します。
流麗なピアノに導かれて始まる「3 Words」や,しっとりとしたメロディーの「Love Games」は,妖しく幻想的な雰囲気がたまりません。終盤は明るく開放的な曲が多いのですが,その中では,春の日差しのように明るく爽快なメロディーを伸びやかに歌い上げた「Don't Tell Me No」がイイですね。
前作『The Declaration』と比較すると,ややこじんまりとした感は受けるのですが,それでもアシャンティのヴォーカルは相変わらず魅力いっぱい。まずは6年ぶりの歌声を素直に喜びたいところです。
メル・ギブソンが監督/主演した同名の映画(1995)の原作小説です。時は13世紀末。イングランドの過酷な統治に苦しむスコットランドで、秘密の恋人をイングランド兵に殺害された主人公ウィリアム・ウォレスが、圧政から民を解放するために立ち上がる。実在した国民的英雄である彼の、短くも波乱に満ちた生涯をベースにした物語です。
映画は3時間近い長い作品ですが、それでも、時間の都合上、大分原作からカットされたエピソードがあります。映画を先に見た方でも、小説版ではじめて知るエピソードが含まれているので十分楽しめます。
名字から推測がつきますが、著者は、主人公であるウォレス家の遠い子孫にあたる方だそう(アメリカ居住)。そのせいか、それは幾ら何でもウォレスを美化しすぎでは??、それは史実に反しすぎ、流石にあり得ないだろう…などと思える記述も正直あります。なので、歴史に関する本としてだけ見るとやや問題があります。それでも、物語全体としては起承転結や構成もしっかりしていて、感動的です。
ウォレスと幼馴染の美少女ミューロンとの恋、ウォレスと喧嘩友達ハ―ミッシュとの友情などを基軸にしながら、農民である彼ら(実際のウォレスは小地主の息子だそう)が、当時のスコットランド氏族間の権力闘争、イングランド‐スコットランド間の戦や政治に巻き込まれ翻弄されながら懸命に生きる様が熱く描かれています。
スコットランド貴族としては、後に名君ロバート1世となるロバート・ブルース。イングランド側では、長脛王と呼ばれた軍事に長けた王エドワード1世とその愚息エドワード2世、
フランスからイングランドに嫁いだイザベラ王女がメインの登場人物です。イザベラ王女に関しては相当の脚色がなされており、史実とは異なりますが、エンターテイメントとしては楽しめます。
さすが!と思わせるホーナーの音楽である。
アカデミー賞を受賞したのもうなずける。
イギリス音楽には欠かすことのできない、バグパイプも随所に使われており、映画本編を知らない人も十分楽しめる作品だ。とにかく劇的な作品!