史上名高い純愛ラブストーリー。本当はいろいろあると聞いていましたが、、、。ここまでリアルというか幻滅に描いてしまって英国王室は苦情を述べないのかしら。イギリス人は怒らないのかしら。
本書は1995年『
恋か王冠か―英国ロイヤル・ファミリー物語』を加筆・修正したもの。
「1936年、エドワード8世、後のウィンザー公は愛のため英国王冠を捨てました。そして、
二度の離婚歴があり、しかも夫は存命というアメリカ人女性、ウォリス・シンプソン夫人と
再婚しました。『恋か王冠か』と世界中を騒がせた20世紀最大の恋愛事件でした。……
『女王の時代は栄える』を体現したのが、本書の第2章の主役、エリザベス1世でした。
母アン・ブーリンは男の子を産めず父ヘンリー8世に処刑されています。母は処刑、娘は
英国女王という数奇な運命は何度も映画化され、世界的に大ヒットしました。ウィンザー
公とは対照的に、生涯独身を貫き女王としての役割を全うした彼女の人生もまた、
ドラマに満ちています」。
本書の白眉は何といってもエリザベス1世の軌跡。
人間にとって最高の娯楽はいつだって殺人、
シェイクスピアさえも生温いと感じさせる
ほどに、謀略、処刑、とにかく人がバタバタと死んでいくのだから痛快なことこの上ない。
遠縁のスコットランド女王メ
アリー・スチュワートを処刑台に送り込み、終いにはかつての
義兄
スペイン国王フェリペ2世と一戦を交え、かの無敵艦隊を撃墜するというのだから、
これで面白くないはずがない。この興奮に比すれば、垢抜けないカップルにお世継ぎが
生まれたなんてクズゴシップなど、一瞥にすら値しない。
もっともこうした衝撃とて、ウィンザー公ってネクタイの結び目に今なおその名を残す
いけすかない伊達男でしょ? メ
アリー・スチュワートとブラッディ・メ
アリーって別の
人だったの? 程度の私の無知に由来するものでしかなくて、既に歴史の概要を知る方に
してみれば、さして目新しい話でもないのかもしれない。実際、素材の持つインパクトが
あまりに鮮烈で、筆者の文体がそこに何らかの価値をつけ加えたとの印象もない。例えば
ウィンザーの人格をめぐるマザコン連呼なんて、批評としては退屈そのもの。
現代社会ではたとえ起きても知られぬままに処理されるだろう、血で血を洗う抗争の
王室史、事実は小説より奇なり、を地で行く一冊。
本書は1995年『
恋か王冠か―英国ロイヤル・ファミリー物語』を加筆・修正したもの。
「1936年、エドワード8世、後のウィンザー公は愛のため英国王冠を捨てました。そして、
二度の離婚歴があり、しかも夫は存命というアメリカ人女性、ウォリス・シンプソン夫人と
再婚しました。『恋か王冠か』と世界中を騒がせた20世紀最大の恋愛事件でした。……
『女王の時代は栄える』を体現したのが、本書の第2章の主役、エリザベス1世でした。
母アン・ブーリンは男の子を産めず父ヘンリー8世に処刑されています。母は処刑、娘は
英国女王という数奇な運命は何度も映画化され、世界的に大ヒットしました。ウィンザー
公とは対照的に、生涯独身を貫き女王としての役割を全うした彼女の人生もまた、
ドラマに満ちています」。
本書の白眉は何といってもエリザベス1世の軌跡。
人間にとって最高の娯楽はいつだって殺人、
シェイクスピアさえも生温いと感じさせる
ほどに、謀略、処刑、とにかく人がバタバタと死んでいくのだから痛快なことこの上ない。
遠縁のスコットランド女王メ
アリー・スチュワートを処刑台に送り込み、終いにはかつての
義兄
スペイン国王フェリペ2世と一戦を交え、かの無敵艦隊を撃墜するというのだから、
これで面白くないはずがない。この興奮に比すれば、垢抜けないカップルにお世継ぎが
生まれたなんてクズゴシップなど、一瞥にすら値しない。
もっともこうした衝撃とて、ウィンザー公ってネクタイの結び目に今なおその名を残す
いけすかない伊達男でしょ? メ
アリー・スチュワートとブラッディ・メ
アリーって別の
人だったの? 程度の私の無知に由来するものでしかなくて、既に歴史の概要を知る方に
してみれば、さして目新しい話でもないのかもしれない。実際、素材の持つインパクトが
あまりに鮮烈で、筆者の文体がそこに何らかの価値をつけ加えたとの印象もない。例えば
ウィンザーの人格をめぐるマザコン連呼なんて、批評としては退屈そのもの。
現代社会ではたとえ起きても知られぬままに処理されるだろう、血で血を洗う抗争の
王室史、事実は小説より奇なり、を地で行く一冊。