ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)
【時間ロマンス編】
01.「商人と錬金術師の門(テッド・チャン)」過去に戻って失ったものを取り戻そうとする男の話。久しぶりに読むテッド・チャン作品でしたが面白かった。ストレートな時間ロマンス。
02.「限りなき夏(クリストファー・プリースト)」時の中に凍結された恋人たちの話。
03.「彼らの生涯の最愛の時(イアン・ワトスン&ロベルト・クアリア)」年の差カップルの話。梶尾真治の「時尼に関する覚え書」を思い出した。
04.「去りにし日々の光(ボブ・ショウ)」光通り抜けるのに何年もかかるガラス(スロー・ガラス)を扱った連作のひとつ。ガラスの厚さの単位が「光年」というこの発想がすごい。しみじみとします。
【奇想編】
05.「時の鳥(ジョージ・アレック・エフィンジャー)」歴史観光旅行の話。ただし、これは時間SFではないと思う。
06.「世界の終わりを見にいったとき(ロバート・シルヴァーバーグ)」世界の終りの観光旅行の話。これも時間SFではないと思う。
07.「昨日は月曜日だった(シオドア・スタージョン)」消えた火曜日を探す男の話。無駄に長い。ショートショートで十分。これも時間SFではない。「20世紀SF−1940年代」で読めるので、わざわざ入れることはなかったと思う。つまらんし。
08.「旅人の憩い(デイヴィッド・I・マッスン)」場所によって時間の流れる速さが違う世界での戦時中の話。
【リプレイ編】
09.「いまひとたびの(H・ビーム・パイパー)」戦場で大怪我を負い、目が覚めると少年時代に戻っていた男の話。
【時間ループ編】
10.「12:01PM(リチャード・A・ルボフ)」同じ1時間を繰り返す男の話。
11.「しばし天の祝福より遠ざかり・・・(ソムトウ・スチャリトクル)」おかしな宇宙人により1日を繰り返すことになった人々の話。
12.「夕方、はやく(イアン・ワトスン)」毎日、数百年の人類文明の歩みが繰り返される世界の話。
【飛び飛びに生きる編】
13.「ここがウィネトカなら、きみはジュディ(F・M・バズビイ)」飛び飛びに生きる恋人たちの話。SFマガジン掲載当時ならともかく、飛び飛びタイムトラベルとしては既に「酔歩する男」(小林泰三)や「タイム・リープ あしたはきのう」(高畑京一郎)とか「きみがぼくを見つけた日」(オードリー・ニッフェネガー)とかを読んでいるので、目新しさは無い。ちょっとがっかり。
一番良かったのは、04 で、
その他良かったのは、01〜03、08、09、11 でした。
04の入っている連作集「去りにし日々、今ひとたびの幻」が読みたくなりました。古本は高価です。再販してもらえればうれしいです。
意外(?)なことに、時間ロマンス編にハズレがなかったので、
この手を集めてまた1冊出すのはいかがでしょうか?
角川の和洋まぜこぜの本や、創元SF文庫のその手の傑作選よりはずっといいものができると思いますが・・・。
ケネディとユダヤの秘密戦争 (発掘!アメリカの嘘)
ケネディ暗殺モノはなぜだか数多く読んでいます。というのも、どれもこれもコジツケ風で、何冊読んでも消化不良気味だったからです。その点、この本はイスラエルの核武装をケネディが容認しなかったという説を中心にしていて、しかもマフィア、CIA、カストロ説なども丁寧に検証しているので、ついに出た「決定版」と呼んでいい作品です。それにしても例の団体の執拗さときたら、著者による「本書がおかれた状況について」を読むだけでも価値ありです。日本の多くの作家・著者にも同じような勇気をもって欲しいと思います