漢晋春秋司馬仲達伝三国志 しばちゅうさん(1) (イブニングKC)
三国志が題材で孔明の好敵手とされる司馬懿が主人公です、
小説や漫画ゲームなどの司馬懿は老獪な野心家として描かれることが多いのですが。
本作では戦のシーンは殆ど無く、鎧武者も殆ど登場せず、
やる気の無い引きこもりでダラダラと家でウダウダしていたい司馬懿が、
曹操や曹丕に巻き込まれ…と言うのが毎度のパターンです。
ラストのオチも、誰か(大抵司馬懿)が酷い目(大抵殴打)にあって絶叫、
ある意味定番、ある意味ワンパターン、
ストーリーも一応繋がってはいる物の、
一話読みきりと言えなくもない作中の司馬懿と同じゆるいダラダラした展開です。
そうなると、三国志の人物を用いた単なるギャグマンガと思われそうですが、
そうではなく、三国志、それも主に正史のエピソードを上手に絡めて笑わせてくれます。
事実司馬懿は正史において曹操に仕えるのを非常に渋っていたので、
その辺をうまく絡めています、
筆者自身の三国志に対する造詣は深く、
正史の非常に細やかなエピソードをネタに持ってきたり、
同じ講談社と言うだけあってか、蒼天航路ネタも盛り込まれており、
中々にマニアックな内容が多くディープに楽しめる内容になっています。
時代が重なるためですが、
主人公の司馬懿は元より、曹丕、曹植など、魏志 文帝紀 建安マエストロ! 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)と人物の多くが重なります、
読み比べて筆者同士の人物に対する見方を比べるのも楽しいです。
とりあえず司馬懿はやる気に欠けるというのが両作者の一致ですね。
難点は一つ、絵が少々雑な点でしょうか…
作者はイラストなどでは非常に見事でオリジナリティあふれる武将たちを見せてくれているのですが、
本作は作風とあわせてか殆どがダラっとした物になっております。
余談ながら「しばちゅう」となると司馬懿第四子に司馬<イ由>(しばちゅう)なんてのがいますね。
吸血鬼と愉快な仲間たち (Holly NOVELS)
久しぶりに木原さんの本を買いました。
いつもの「イタイ・オモイ」を想像して敬遠してたのですが、今回は木原色と少し違う感じがして、お正月って事もあり購入。
よかったです。久しぶりにHITです。(外傷的な痛さは少しありますが)
吸血鬼という特殊な題材でしたが、少しお惚け風な吸血鬼主人公(本人は必死)は愛着がもてたし、冷たいけど暖かくなじみが無い宿主は、エンバーマーというあまり聞いたことが無い職種で、そこもグイグイ引き込まれて話が進む流れになっていたし、あっという間に読んでしまった作品でした。
友人の警察官も良い味でてますし。
主人公と宿主のこれから(もちろんラブ)に期待大です!
吸血鬼と愉快な仲間たち Vol.5 (Holly NOVELS)
待ちに待った巻でしたが、本編の少なさに衝撃を受け…番外編の厚さにビックリ。
前作が読み返せないくらい悲しい終わり方だったし、
アルと暁のツーショットを期待してただけに、2年半も待ってこれかよ!と
怒りがこみあげてきました。
それでも、読んでみるとやっぱり面白いんですが。
置き去りにされたアルが可愛そうで、協力したキエフがちょっと憎かったけど、ちゃんと客観的に二人のことをみていて。
確かにそのとうりだと納得。アルのことを大切にしてくれるいい人だなぁと。
パットといい、周りの人はいい人ばかりです。
頑張ってるけど、暁を恋しく思うアルに涙しました。
アルを気にかけてる暁の行動のとこは何度も読みかえしました。
番外編は読み始めたら止まらなくなっちゃって、釘づけに。
暁の頑なな淋しい性質を形成するに至った、生きてきた過程は可愛そうでほんとイライラ。
でも、リチャードやイングリットと出会えてよかった。
どうかこれからアルの存在が暁を柔らかく温かく溶かしてくれたらいいな
ぜひ、早めに次巻をお願いしたいです。
あと、発売日の掲載はしっかり目処がついてからにしていただきたいなぁ。
仲達
意外性に関心が湧いて読んだ、これまで正統視されている「演義」の逆転を見せたからだ。読む限りでは、こういう見方も成立するな、と感じた。史実かどうかわからないが、芥子のアヘンが戦略兵器となってそこまで浸透していたのかが不学でわからない。あとがきでいいから、その蓋然性の実証面を明らかにしてもらいたかった。
もし著者の見方が史実に裏付けされているとしたら、周恩来がベトナム内戦時に、米兵に対してアヘンの浸透を策して成功した史実を彷彿させて面白かった。麻薬に汚染された帰還米兵は、米国内にその習慣を持ち込んだのである。いまだに、米国社会はその後遺症に悩まされている。
UnSweet「吸血鬼と愉快な仲間たち」ドラマCD
とても出来の良いCDだ。何より配役がいいし、原作の雰囲気をとてもよく伝えている。ヘタレなアメリカ人の吸血鬼が平川さん。エンバーマーの暁に緑川さん。人の良さげな刑事の忽滑谷(ぬかりや)に森川さん。脇に遊佐さんと千葉さんがいて、凶悪な殺人犯が真殿さんだ。
発売されてすぐにこのCDを聞いて、すごく面白かったので原作を読んだ。巻を重ねるごとにどんどん面白くなっていく。そしてCDの配役の素晴らしさにまた気づく。暁に緑川さんをキャスティングした人に感謝したい。ぶっきらぼうで優しくてさみしがりやの暁にこれほどぴったりの声はない。緑川さんのみならず、平川さんのカタコトの日本語はかわいいし、森川さんの忽滑谷は三倍ハンサムに聞こえるし、CDを聞けば原作が倍楽しくなる。遊佐さんも千葉さんも、この巻限りの真殿さんも素晴らしい。続編が楽しみだ。