食品の裏側―みんな大好きな食品添加物
数ある「食への危機」の中でも、添加物業界の中心にいた人物の告発本ということでは
他とは一線を画すし、非常に価値がある。ただし、筆者の安部氏自身の人柄については
疑問符?が残る。添加物ミートボールの開発にかかわっていた筆者が、自分の子供が
それを食べるまでその危険性・異常性に気がつかない点(他の子供が喜んで買っていく
様子を見たときは「俺にしか作れない」と得意気だったのに)や、農協の婦人部が売って
いた「おばあちゃんの手作り漬け物」に添加物が入っていたことに激怒するくだりが
書かれているのだが、その基盤を作ったのは他ならぬ筆者なのであり、添加物の漬け物を
見て慚愧の念を抱きこそすれ怒るというのはあまりにも筋違いではないのか。
また、筆者は「添加物は絶対悪ではないし、やたらと恐怖心を煽るつもりはない」という
ことを言っているにもかかわらず、表紙の帯には「知れば怖くて食べられない!」と
恐怖心を煽動する売り文句がおもいっきり書かれているし、文中で添加物を「有害」と
断定した表現も使っている。それ以外の部分では食品に対する見方、添加物に関する知識
などについてとても有用な情報が得られるので取捨選択しつつ読み進んでいく価値はあります。