アントン・ブルックナー―魂の山嶺
著者の本業はクラシックギタリストのようですが、簡潔にして格調高い文章が素晴らしい。300ページあまりを楽に読み通せます。
作品ほどドラマチックではないブルックナーの人生を、暴露趣味に流れるでもなく淡々とたどりながら退屈させないのは、筆力と、行き届いた作品解説を含む内容のバランスの良さでしょう。
ただし、信仰など精神の側面からの作品解釈に新たな踏み込みは少ないと思います。タイトルもあって、そうした面に期待して買ったので星一つ減ですが、傑作評伝であることに変わりはありません。
フルトヴェングラー・コンプリート RIAS レコーディングズ (Wilhelm Furtwangler - The Complete RIAS Recordings) [12CDs + Bonus CD] (Import CD from Germany)
フルトヴェングラーの全集は、EMIのベートーヴェン全集しか持っていないので、手頃な価格の全集を探して、このBOX SETを見つけました。
購入前は音質に不安が若干ありましたが、評判が非常に良いので思い切って購入したところ、ノイズが巧妙に抑えられ、期待以上の迫力のある音質なので驚きました。
フルトヴェングラー指揮のコンサートに行く夢はかないませんが、これらのCDを聴くことで、フルトヴェングラーの存在が、ぐっと身近に感じられてきます。
フルトヴェングラーのサインをあしらったBOXのデザインも秀逸で、所有する喜びを満たしてくれます。
第9が入っていないのは残念ですが、フルトヴェングラーに関心がある方は、このBOX SETの購入の検討は一考に値すると思います。
秋のホテル (ブルックナー・コレクション)
ブルックナーの作品は、日本人には少々取りつきにくいところがあるかもしれない。この「秋のホテル」もヨーロッパの有閑女性達についての知識がないと理解に苦しむ部分があるのは事実だ。しかし、ブルックナーの繊細で仔細な人間観察を通じて、ヒロインの内面の変化と成長が丹念に描かれたこの作品は、静謐さの中にも人間のエゴイズムや孤独をしっかりと見据えていて素晴らしい。イギリス文学の伝統を受け継ぎながら、普遍的な人間性を描いた傑作といえる。こういった作品が生まれるのも成熟した文化を持つヨーロッパならではだろう。
「マエストロ、それは、ムリですよ・・・」 -飯森範親と山形交響楽団の挑戦-
一言でいうと「ブラボー」な本です。
飯森範親氏が努力、才能、技術、キャリアなどを極め、超越しているからこそ言い切れる「音楽家はサービス業だ」というコトバ。
素晴らしいです。
山形交響楽団に対して様々なオーダーをだし、変化していくことを成長ととらえ、恐れることなく前進してゆく様はドラマチックでドキドキするほどです。
クラッシックに興味のない私でも楽しめました。
ぜひどーぞ。