ジャッキー・マクリーン・クインテット
J・マクリーン初のリーダー作。1955年録音。J・マクリーンと因縁深いマル・ウオルドロンとの初共演作でもあります。今回も前回の紙ジャケと同様、オリジナルのジャケットでの発売です(別名猫のマクリーンです)。
1、4、6はスタンダード。2、3、はマクリーンのオリジナルで、各々娘さんに捧げられています。5、はウオルドロンのオリジナル。
1 アッテンポの曲です。マクリーンasとD・バードのtpの掛け合いが面白いです。 2 ややスローな展開の曲です。ウオルドロンのピアノ・ソロが単調です(モールス信号みたいと悪口を言う人もいます)。3 2管の短いユニゾンのイントロの後、asのソロ、tpのソロそしてpソロ<この曲では、割合に乗っています)と続きます。軽快でシャープな演奏で一番の聴きものかな!! 4 アップテンポで軽快に演奏されます。少しくすんだ音色のasのソロが耳に残ります。dsが好サポート。 5 tpソロの後、pソロがありますが、例によって単調です。asとtpの掛け合いが面白いです。 6 当然スローな演奏になります。例によってpは、単調。マクリーンの為の曲かな・・マクリーンが演奏したかったのかな?
通して聴きましたが、初リーダー作の為か、マクリーンが非常に乗った演奏をしていて、その熱気がよく伝わります。しかし、ウオルドロンの演奏は、単調で、アドリブでも同じフレーズの繰り返しです。それに反し、D・バードのtpは中々軽快にスイングし、マクリーンのasの掛け合いでも中々聴かせ、その才能を既に発揮しています!!10年前の紙ジャケは、2500円もしましたが、今回は、廉価盤での再発です!!
レフト・アローン(K2HD/紙ジャケット仕様)
冒頭のマル・ウォルドロンのピアノは、予期せぬような重いタッチで始まります。亡きビリー・ホリディへの思いがいきなり伝わってくるようです。そして ジャッキー・マクリーンが奏でるアルトサックスがとても悲しげな音色で続きます。
この瞬間、リスナーの部屋がジャズ喫茶やバーに変貌するわけです。空気や雰囲気がこれほどまで瞬時に変わる曲も他に知りません。
録音されてから半世紀もの間「レフト・アローン」が日本のジャズファンに、愛され続けてきたのもジャッキー・マクリーンをフューチャーしたことに尽きると思います。マルの哀しみにインスパイアーされたジャッキー・マクリーンがビリー・ホリディの歌声を代わりに奏でているのですね。彼女の他界に捧げた追悼曲ならではの哀しみが伝わってきます。
サックス特有のかすれた音色を伴った息遣いが感情をストレートに表現しており、ジャッキー・マクリーンにとっても代表曲となりました。
個人的には2曲目の「キャット・ウォーク」も好きです。ベースとピアノのからみが秀逸で、トリオとしての完成度も高い曲です。
「恋の味をご存知ないのね」のような重い曲こそマルのイメージです。もの悲しいピアノです。饒舌ではありませんが、一音ずつ確かめるようにピアノを弾くマルの個性がよく表れた曲でもありますね。これも好きな曲です。
スイング・スワング・スインギン
このアルバムを聴くとアルトサックスの音ってこんなに気持ちよかったんだといつも再認識する。この時代のA・ペッパーの音なんかどうにも苦手なんだが、かたやJ・マクリーンのアルトの音は力強く歯切れもよく聴いてて爽快な気分になり、実に気持ちがいい。
どの曲もそうだがとくに1は単刀直入のメロディが入ってくるあたり「サキコロ」を思わせたまらない。「レフト・アローン」や「クール・ストラッティン」等、この人はサイドのまわっての方が有名な気もするが、間違いなく本人名義での代表作としてこの作品を薦めたい。
ジャッキー・マクリーン・クインテット
サックスのツーホーン・カルテット、つまり「サックス+トランペット+ピアノ+ドラムス+ベース」のフォーマットの快作の典型である。マクリーンの「泣き」のアルト・サックスにマル・ウオルドロンの哀愁あふれるピアノが絡む。気分はアメリカの古きよきジャズクラブ。これぞジャズという一枚なのでビギナーにも、そうとうなジャズ好きにも万人に向く。いわゆるスタンダードに、マルとジャッキーのオリジナル曲も収録。もう半世紀も前のモノラル録音だが、24ビットのリマスターもいい。若きマクリーンのブロウを聴きたい。お酒が欲しくなる一枚。(松本敏之)