ジェントル・ジャイアント(以下GGと表記します。)の作品を「フリー・ハンド」までは所持しているけれど、あとのアルバムはちょっとね…とお考えだった人にぴったりのコンピレーション。「フリー・ハンド」「インタビュー」「プレイイング・ザ・フール」「ミッシング・ピース」「ジャイアント・フォー・ア・デイ」「シヴィリアン」の6枚をCD4枚組にまとめています。70年代の後半、ロックの地図が大きく変わり、いわゆるアート・ロックの流れがすたれ、ポップで簡潔な音が求められるようになりました。GGの音楽を、複雑で難解なものと見なす向きもありますけれど、本来彼らは英国的なユーモアをポップ・ミュージックの中に表現することを使命としていたと思います。「ミッシング・ピース」以降の3枚は、GGのポップスの完成形とも言えるものです。
「フリー・ハンド」は、GGの創作ピークに当たる作品。複雑な作曲、アレンジとキレのある演奏が素晴らしいです。タイトル曲は、ふられた男が、俺はフリー・ハンドだ、と強がってみせます。「インタビュー」は、複雑な構成をそのままにし、ポップ・ミュージックに挑戦した作品。タイトル曲は、インタビューに答える形で、GGの活動を総括してみせています。 I Lost My Headは、またもやふられた局面を歌っています。中世音楽風の導入が、後半ものすごいヘビーロックに。「プレイイング・ザ・フール」は、GGの現役期に唯一発表されたライブ。北米、ヨーロッパを精力的にツアーしていきながら人気を高めた彼らの本領を発揮。「ミッシング・ピース」は、パンクのリズムを入れ、シンプルかつエモーショナルな作曲にチャレンジした作品。「ジャイアント・フォー・ア・デイ」は、音楽をあえて消耗品に例えてみせるコンセプト。「シヴィリアン」は、活動の本拠地をアメリカに移しての制作。消費社会を皮肉を交えてテーマにしています。
未収録曲の収録は、Disc1の8. 1976 Intro Tape から。9. Just the Same、10. Free Hand 、11. On Reflection がジョン・ピール・セッション。12. Give It Back と13. I Lost My Head が7インチ・シングルのバージョン。Disc4の11. Thank You と12. Words from the Wise が7インチ・シングルのバージョン。
およそやれないことはないテクニック集団、ジェントル・ジャイアントの ファースト。すでに、完成しています。 G.Gを聴いていつも思うのは、こういう曲って一体どうやって作るのか ということ。メロディー、コーラス、リズムが渾然一体となって独自の世 界を構築してしまう。この味を覚えてしまうと、ちょっと抜けられません。 確かな技術と耳の良さをベースにした彼らの音楽は、意外に純音楽的な 素直さがあり、商業的なあざとさや、暑苦しい思い入れがなく本質的に 品が良いものです。その結果、今聞いても全く賞味期限が切れてません。 2枚目の「アクアリングテイスト」、3枚目の初期の傑作「スリーフレ ンズ」へと続く記念すべきデビューアルバム、必聴です。
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