この映画が好きで本も買いました。
映画で省かれたところや、違う言い回しのセリフなどを
比べながら観るとよりいっそう楽しめます。
何度も読み返したい素晴らしい内容だと思います。
97年の作品、知名度は高くない。 「新星マット・デイモンとベン・アフレックが共同で脚本を書き、見事にアカデミー脚本賞をさらったさわやかな感動作」と紹介にはある。
どんなに才能に恵まれていても、幼少期や子供時代に親から虐待を受けた、下層民の環境で育ったという状況で、大学に進学できるはずもなく、悪友と日々を放蕩する主人公ウィル。 ウィルは心を深く閉ざし、本音での交流に立ち入ろうとする者は、恋人だろうが、セラピストであろうが、謝絶する。
しかし、周囲の本気にウィルは少しずつではあるが、自分の堅い殻が溶けていくのを感じる。周りに心を開かないのは、余りにも辛すぎる過去の虐待や貧困が防衛本能として作用しているためと思われる。こんなに頑なでは、ウィルは本当に心を開くことはないだろうという気持ちを、映画の途中では持った。
後半は秀逸である。周囲の本気の態度、言葉がウィルを揺さぶる。 悪友と思えたベン・アフレックが、才能に恵まれたお前が20年後もおれたちと同じような環境で、俺達とつるんでいたら、お前を許さないとウィルに突き付けたり、心理学教授が「お前は本当にしたいことは何なんだ、何故そんな簡単な質問に答えられないのか」と繰り返し問いかけたり、そういった場面の連続で、ウィルに完全に感情移入している自分がいた。
ストーリーを知っていても、何度も味わえる深みのある作品であると同時に、マット・デイモンや出演者の演技力は迫真に迫っている。登場するMITやハーバード大学やボストンの街並も美しい。ラストにウィルが下した結論にも賞賛を贈る。人は何のために生きるのか、深く問いかける作品である。地味ではあるが、こういう作品があることを嬉しく思う。
この映画の主人公のように心が閉じていて、人と親密なコミュニケーションがとれない人というのは確かにいますね(私もそうかな?天才じゃないけどね)。こうした人の特徴は、本人は120%必死に頑張っているんだけど、どうしても心を開くことができないから、自分のことを他人に伝えられないし、他人の気持ちも分からない、だから自分の心は枯渇していくし、他人もどんどん傷付ける・・・という不毛な悪循環にはまってしまうことが多いように思います。
こうした人は、一見したところ冷淡な皮肉屋に見えるのですが、本当は罪悪感の塊なんですね。だから、こういう人は「自分は悪くない、自分の心の持ち方が問題なんだ」というように問題を整理できるようになると、自分を縛っていた罪悪感から解放されて、楽になれるんでしょうね。・・・おっと、しゃべりすぎ。あとは観てください。いい映画です。
アメリカの素晴らしさは、マット・ディモンのような才能が、いろんなジャンルで突然飛び出してくることです。もちろん、競争は激しいでしょうが、優れたものにはつねに門戸が開かれている。ところで、この映画、まず脚本がいいですね。若い二人のオリジナル脚本というのだから驚いてしまいます。プロットはよくある類型のひとつかもしれません。スラムに生まれ育ったが数学に天才的な能力をもつ青年、自分でもその能力に気づいていながら、表に出られない。仲間と一緒にいたい。複雑で繊細なこの青年の心のもつれをロビン・ウイリアムズ演ずる心理学者が徐々にその気持ちを解きほぐしていく。ロビン・ウイリアムズという俳優はほんとうにうまい役者です。シリアスな役柄もコミカルなものもなんでもこなす。でも、時々やり過ぎと感じることがありますが、この映画では極めて抑制的に演技しています。また、それがこの不遇な学者のキャラクターをよく表している。自分の可能性にフタをしていた青年は、ようやく自覚し、自律的に生きていこうとする。惚れていたのに、自ら身を引き、カリフォルニアにいる女性のあとを追う青年の車とまっすぐな道を写すラスト・シーンが印象的でした。自分を信じ、人も信じる。現実にはいろんな矛盾があり、世の中は厳しいが、それでも斜に構えるのではなく、まっすぐに生きていくことの大切さを大人も青年も子供も互いに共有しあえたら、と思わせるヒューマンな映画です。
第70回アカデミー賞、主題歌賞・音楽賞にノミネートされた映画「グッド・ウィル・ハンティング」のサウンドトラック。
音楽は「シザーハンズ」でも知られるダニーエルフマンが「誘う女」に引き続き担当しています。
メインテーマの他に映画と絶妙なハーモニーを奏でるエリオットスミスの曲がアルバム
「Either/Or」から4曲とエリオットが映画の為に書き下ろした「ミスミザリー」を収録しています。
ウィルとスカイラーが出会うハーバードのバーでなんとなくかかっているのは、
ボーダフォンのCMでボヘミアン・ライク・ユーが話題になったダンディ・ウォーホルズ。
実際には映画の中で使用されていない曲も多くラストのStarland Vocal Band「Afternoon Delight 」が
収録されていないのはちょっと残念。
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