オリジナル・メンバー4人による20数年振りの作品。2枚組デラックス盤ではメタリカ、ヘルメット、フー・ファイターズ、マッドカプセルマーケット等によるカヴァー集がボーナスCDで付いている。これらのアーティスト名のバラエティが象徴するように、このバンドはハードコア、インダストリアル、メタル、パンク等の分かりやすいジャンル区分の狭間でオリジナルな音を追求してきただけあって、重い音が好きな幅広いリスナーに受け入れられてきた反面、初めて聴くリスナーでも分かりやすいように音を形容するのが難しい人達でもあった。これが彼らの孤高感を高めてきたと同時に、日本で今一つ売れない理由でもあったのだろうと思う。
ヘヴィーに纏められた音はよく練られており、ドラマチックですらある。往時からのしぶといファンにも若いリスナーにもどちらにも受け入れられるであろう、熱の篭った快作に仕上がっている。(しっかり今の音になってるじゃないかというのが、新鮮な驚きですらある。)ヘヴィー・パンクの4曲目の後に続く5曲目はユースの個性が前面に出たテクノ・チューンなのだが、この曲が浮いていないのは全曲通してギターとドラムが荒々しく鳴っているからだ。せっかくのデビュー30周年企画なんだから、この5曲目みたいなダンス方向で安直に一枚纏めればもっと売れ線になったのだろうが、全くそういう色気を出さずにひたすら重く押してきたあたりが、この人達らしい。
御大の大復活でございます!しかもオリジナルメンバー+デイヴ・グロールのオマケ付き!まず、注目すべきはデイヴ・グロールのドラムなんですが手数も多く正確でちょっとびっくり。見直しました!ポールもPRONGよりもこちらを優先してくれたのは嬉しいですねぇ。サウンドはってぇとインダストリアルでは無いです。デジタルやゴス風味は色々な所に顔を出しますが前作に比べるとずっとストレートなROCK色の強い作品になっています。1曲目からギターがゴリゴリ言ってますし、80年代の頃の実験的なパンク色の強かった頃に近いかなぁ?ポールが参加してるって事でZilchのあるべき未来の姿の1つだったと考えて聴いてみるのも面白いと思います。7曲目「YOU’LL NEVER GET TO ME」の様な美しく切ないメロディラインを安直にアコースティックという形を取らずに、格好良いミディアムテンポのロックバラード仕上げている手腕とセンスには脱帽です。色んなサイトで{インダストリアル}と評価されてる本作ですが、俺は違うと思うなー?むしろ実験的パンクロックてな感じじゃないかなぁ?ライヴで昔の名曲がプレイされるのを想像すると堪りませんね。ぜひ、ライヴ盤もリリースして欲しいです。
KJの#1と#2(これ)は、歴史的にみるとすごい音楽です。 電子音を強化すればElectronic Body Musicですし、ギターリフを強化すればIndustrial Metalです。呪術的に反復するリズムはその後のインダストリアル系の源流といえると思います。もっとも、このアルバムの後KJは方向性が定まらなくなってしまいます。時代より早すぎたということでしょうか。
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