第二次世界大戦も終わりに近い、ナチ占領下のチェコの小さな町。ヨゼフとマリエの夫婦は、ひょんなことからポーランドの収容所から脱走したユダヤ人青年ダヴィドを家の隠し部屋にかくまうことになります。しかし、手土産を片手に夫婦の家にひょこひょこ訪ねて来る、ナチス信奉者のホルストは、夫婦の隠し事をしているような態度に気づきはじめ... この映画は、ヨゼフをユダヤ人の命を助った「偉大な英雄」ではなく、一人の人間として描いています。ヨゼフは強い正義感を持っていたわけでも、ナチスに抵抗しようと思ったわけでもありませんでした。ダヴィトを助けたのは、殺されるのがわかっているのに、彼を道に放り出すことができなかったからです。それでも、ナチスに見つかればヨゼフもマリエも皆!殺!!されてしまうので、ヨゼフは必死なのですが、その様子が、時として観客の笑いを誘っています。例えば、元々は寡黙なヨゼフが、隠し部屋から出てきていたダヴィトが見つからないよう、ホルストの前で突然歌いだすシーンがありました。ヨゼフのそんなおかしな「必死」さが、「英雄話」になりがちなユダヤ人救出物語を観客の身近に感じさせています。
ファイングラフはデジタル複製版画の一種(高級なプリント出力)なので、シュヴァンクマイエルの絵の相場より、安いのでしょう。
絵の質感はきれいにでていました。
余白におしゃれな押しピンをさし、プリントのまま部屋に飾っています。
お手軽に(DVDBOXと考えると高いですが)アートを楽しめ、エディション付きということで、展覧会の記念に持つのにはいいかと思います。
ですが、絵のコレクターのように絵に価値を見出し転売することを目的にする人にはおすすめできません。
純粋にシュヴァンクマイエルの絵が好きで、いつも見ていたい人向けです。
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