遷都1300年で盛り上がりつつある奈良。そのイベントガイドもあるけれど、なんといっても、街並みや名所付近をブロック分けして、通りに並ぶお店や建物の名を網羅してくれているのが心強い! ありがたい! ここからここまでは歩いて何分、という目安も書いてあり、さらに同じ地図が、名所などの見どころと、買い物や食事の注目の店の二つに分かれているので、計画も立てやすい。
しかも全ページカラーで、奈良市内はもちろん、山の辺の道、吉野、當麻まで完全網羅し、料金表示などは2010年1月という最新版で500円とは! 奈良旅行の最強のガイドブックになりそうです。
京都にはじめて行くならこちらのガイドブックを買っておけば間違いありません。 写真も説明も大きく、分かりやすいです。
現代の地図を半透明のトレーシング・ペーパーに印刷し、平城京の地図はカラーで印刷し、それら2つを重ね合わせると、奈良時代と現在の位置関係を知ることができるという優れもののマップです。
今でも広大な寺域を持つ東大寺ですが、奈良時代は本当に広いエリアまで確保していたのが分かります。
2010年に平城京遷都1300年を迎え、今整備が着々と進められている平城宮跡もこのマップでより鮮明に範囲が分かりました。
駅名にも残り、古代には大寺であった西大寺の寺域の広大さとその範囲も分かり、53頁に掲載された地図により、平城宮を挟み東大寺と西大寺の位置の対比もしっかりと把握できました。当時の条坊制における碁盤の目や朱雀大路、九条八坊の大きさもしっかりと捉えられました。
今は奈良町にひっそりと建っている元興寺も、元は興福寺よりも大きな寺域を持つ大寺でしたし、大安寺も同様だったのが一目瞭然に理解できるのは物凄くありがたかったです。
皇親政治を推進したために、長屋王の変で無念な自害をさせられた長屋王邸は、今のイトーヨーカ堂奈良店(前そごう奈良店)に位置し、藤原麻呂邸や藤原仲麻呂邸のすぐ傍にあったことは興味深い位置関係を示しています。
52頁以降は、平城京 皇位争いと権力闘争の時代―平城京その光と影という章立てで、平城京遷都、宮殿と役所、平城京の暮らしと町を読み解く、など当時のイメージが分かる記述と図解になっており、親切な編集を施した歴史書という趣を持っています。
学校で歴史嫌いを作る要因の一つに暗記物というイメージがあると思います。ただ実際の歴史上の人物は皆現代人と同様、悩みや苦しみ、喜びや陰謀を抱えながら生きてきたはずです。そんな営みをリアルに考える契機になるような書籍だと感じました。
各ページのコメントに多少お遊び的な部分があるものの、使用されている写真は写真集のようにどれも素晴らしい。お寺ごとの仏像の見所がしっかり書かれているし、一度行っただけでは見逃してしまう仏像の細部まで写真と説明が詳しい。また、奈良に行きたくなった。
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