自分の小学校時代と多少場所設定や時代背景が違っていますが、読み終わってあの頃の自分が蘇ってくる気がしました。クワガタが宝石のようであったこと。心躍らせて基地作りをしたこと。友達との関係で悩んだこと。そしてなによりも、普段、大人は悩みが多く、子供は楽しい毎日で羨ましいと何となく思ってきましたが、子供は子供なりに大きな悩みを抱えていて、それを克服するために精一杯生きているということを、改めて思い起こさせてくれた非常に良い作品だと思いました。
子供への読み聞かせにと、手に取った一冊だった。どちらかというと地味な題。地味な表紙。でも、読み始めたら、親子で夢中になってしまった。毎晩「続き読んで」とせがまれ、「もう遅いから読まない」というと本気で泣かれた。
子供のキモチ、がこんなに丹念に書き込まれた本に出会ったことがあったかなぁ。ないような気がする。池の主みたいな、おじいさんと出会うことで、つりにどんどん引き込まれて、楽しみを見つけいくケイタくんの気持ちが、手によるようにわかるんだなぁ。で、我が息子も、すっかり同調して、「釣りだ、釣りいくぅー!」と大はしゃぎ。そしてケイタくんの釣りを通して、なんか奇妙に自然と触れ合っている気がしてしまう、不思議。
一生釣り続けたおじいさんのことばが、すごくいいなぁ。「お前は、一匹のかめに、そんなに心を動かされたんじゃ。それで、いいんじゃよ。それが、出会いだ。」かみ締めるほどに味があるなぁ。釣りでも、なんでも、これから生きていく人生で、日々の暮らしの中で、我が息子にもそんな出会いをいっぱいしてほしい。私もしたい。
釣りのこと、池の生態のこと、子供の気持ち、長い人生、この一冊に宝物がいっぱい詰まっている。超お勧め。
読書感想文の課題図書というと、おかたい教訓めいた本が想像されますが、本書を読んで課題図書のイメージが変りました。子どもの生来持っている冒険欲、秘密への憧れ、学校や社会への反発心、異性への憧れと葛藤など、子どもの心理をよく捉えて描いており、子どもが本書を読んだならば、大いに共感を生むのではないかと思います。授業をさぼること、帰りに寄り道をすること・・・どちらも学校としては肯定することはできなくても、子どもからしてみれば十分に魅力的であり、それを強制して抑えることはできない。そんな子どものあふれる気持ちをよく表現できていると思いました。
また筆者の巧みな文章力にも目をみはるものがあったと思います。リズムの良さ、心理描写だけでなく、情景描写のうまさなど、その映像が容易に想像できました。
児童のための文学という枠に捉われずに、子ども心を思い出すという意味でも、大人が読んでも非常に面白い作品ではないかと思います。
課題図書という「おかたい」イメージが私の中で一新された一冊でした。
もう、この本は最高と言うしかありません! わたしがよく読ませていただいている令丈ヒロ子先生、そして大ッ好きなはやみねかおる先生!豪華な作家陣でした。 ◇令丈先生の「鈴鬼くんのすてきなイトコ?」◇ わたしは普段も若おかみシリーズを読んでいます。おっこちゃんがかわいくて大好きです。でも5巻で出てきた気になる存在、鈴鬼くんが、またまた事件を起こしちゃいました。かわいい魔幸ちゃんにも注目です!! ◇はやみね先生の「出逢い+1」◇ もうクイーンファンのわたしにとっては最高でした。今までシリーズを読んでいて、ずっとクイーンとジョーカーの関係を知りたいと思っていたので、とても嬉しかったです。ジョーカーはこんな辛い過去をおくっていたんだと思うと、いつもはだらけてばかりのクイーンが天使に見えました(笑) と、他にも面白い作品ばかりです。あさのあつこ先生の蘭シリーズは読んだことがなかったのですが、読んでみようという気持ちになりました。 「おもしろい話が読みたい!」って思っている方。 ぜひ手に取ってみてくださいね。
「猟奇殺人事件」・「似非新興宗教」・「マッド・サイエンティスト」という3つのテーマを無理矢理ひとつにして4で割ったようなコメディ風ホラー映画である。
本作では昭和27年の日本の市街風景の再現を狙って中国(China)の地方都市(蘇州辺りか?)でのロケ場面が多いが、屋根の形状や河川風景等に違和感があり、どうしても「三丁目の夕日」と比較してしまう。現場ロケならではの空気感は十分感じられるが、いくら似ているからといって異国の町並みを戦後間もない日本に見立てるのには土台無理があったようだ。
しかし配役においては、主役の堤真一を始めとしてヒロイン役黒木瞳、準主役の阿部寛、椎名桔平と個性派俳優をズラリ並べて抜かりは無い。ただし苦言を呈すれば各シーン毎に主役がころころ変わることがストーリーの一貫性を希薄にしており非常に残念である。
本作は謎解きや怪奇性を期待するよりも、各役者の<成切り度>と<京極風ホラー・ワールド>を気楽に楽しんで観るのが良いだろう。今回もまた主人公京極堂の「この世には不思議なことなど何もないのだよ、○○君」という決り台詞を耳にするだけで満足したのは私だけであろうか?
というわけで、現代中国の長閑な地方都市の観光映画として見るなら十分に楽しめる作品である。
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