旧UFJ銀行の検査忌避がベースになった物語な訳だけど、半分は抜群にリアル、半分はあり得ん、って感じです。
この間読み終わった消失-金融腐食列島【完結編】〜高杉良もそもそもは三和がベースだったので、ストーリー的にも登場人物的にもかぶる部分が多すぎで、しかも両作者共綿密な取材に基づきフィクションともノンフィクションとも言えない物語を作って行くので、「きっと本当にこういう人が居たんだろーなー」とか、「こんな事があったんだろーなー」と思って読んでみた。
ちなみに三和がやったとされている「緑化作戦」は今は旧東京三菱の「枯葉作戦」で駆逐されているとの噂は本当か・・・。
■読んで欲しい人
・金融庁の人
・銀行の偉い人
著者の池田洋一郎氏は財務省の若手官僚で、ケネディスクールで学んだこと、並びに体験したことをblog(ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ)で随時更新していた。
国費(=税金)で留学し、多忙の中で自分のため、納税者の為(?)にblogを随時更新した点は素晴らしい。これだけでも留学生の模範たり得るが、blogで記述したものを1冊の本にまとめたのが本書である。
◎本書の構成
(1)プロローグ
・ケネディスクールを志したきっかけ
・入学までのプロセス
(2)講義ライブ
・パブリック・プライベート・パートナーシップ
・ソーシャル・マーケティング
・リーダーシップ
・フォーラム
(3)ボランティア活動
・ニューオーリンズ
・インド
・ケニア
(4)修士論文【PAE】
(5)エピローグ
・卒業式
・社会復帰に向けて
・ハーバードで得たもの
本書を通じて、著者が2年間を最大限に有効活用し、実り多き留学生活を過ごしてきたことがよく理解できた。そして、私が興味深く読んだ点はハイフェッツ教授のリーダーシップに関する項目である。
リーダーシップの教祖として有名なハイフェッツ教授は私も存じており、著書を1冊所有している。信者も多数いるハイフェッツ教授だが、在学中の著者は信者を冷ややかに捉えていた。
そのため、本書では客観的な視点からハイフェッツ教授の講義をライブ中継している。独特の講義展開とケーススタディ、個性溢れる特別講義の数々に、私は読めば読むほどハイフェッツ教授にはまり込んでしまった。
完璧に筋書きが完成されている講義とは異なり、ハイフェッツ教授の講義はアドリブがふんだんに散りばめられている哲学的な講義のように感じた。そのため、4章を読み終えると頭の中が真っ白になるかのような錯覚に襲われた。
そんな私の錯覚を埋め合わせるかのように、著者は終章(=10章)でハイフェッツ教授の特別講演をライブしている。以下に、卒業生が社会復帰する際にハイフェッツ教授がアドバイスした6項目を箇条書きする。
1.Reflectionの時間を持て
2.仲間を大切に
3.自己(Self)と役割(Role)を区別せよ
4.静かに戻れ(Re-enter Quietly)
5.自らの弱み(Vulnerability)と渇望(Hunger)を知れ
6.無理に計ろうとするな
私はリーダーシップに強い関心があるため、どうしてもハイフェッツ教授の項目が強く印象に残ってしまう。しかし、他の章も興味深い内容であり、サブタイトルの「世界を変えてみたくなる留学」があながち嘘ではないことを実感するだろう。
読み手により、本書の魅力は百花繚乱するだろう。“自分を変えてみたい”、“未知の世界を知りたい”方は、「世界を変えてみたくなる」本書を読まれることをおススメする。
この一冊で、財務省・金融庁の歴史、組織と業務内容、キャリアアップまで一通り学ぶ事が出来ます。 また、コラムも素晴らしく、特に『「作られた虚像」に惑わされるな!キャリアの実態とは?』と『「この国をよくしたい−財務キャリアの実態と意識とは?」』は公平・中立的な視点からの数少ない擁護論としても秀逸です。 私の知る限りでは、大分古いのですが、元科学技術庁課長補佐で現在は筑波大学名誉教授の中川八洋氏の『大蔵官僚よ、胸を張れ』(『諸君』所載論文)しかありませんからこのような意見は貴重なのです。
銀行交渉術の本は何冊か読んでいるが
いずれも「煽った」コピーの割りに
対策に触れていない等、不満があるなか
この本の著者は中小企業の現実をよく理解されており、
コンサルとしての真摯な姿勢が伝わる良書だった。
銀行の融資を受けることは難しい、
しかし昨今の「中小企業金融円滑化法」で
融資を受けることが可能だとしても
返済をし、事業を継続することはもっと難しい。
この本には単なる「カネ」の話だけでなく
経営改善のヒントがつまっている。
売上さえ上げれば事業は回復するわけではない、という
件からも著者の「中小企業を救いたい」という
気概が感じられた。
投資信託という商品に対して、これほどアグレッシブな姿勢で向き合うことを指南する本は珍しいと思います。実際に投資するかどうかは別として、投資経験者にとっては強炭酸飲料を飲んだようなスカッと感を感じる1冊ではと思います。かなり熟練した相場感(勘)を持っていないとこういう商品選択は難しいと思うので、投資初心者のシニア層とかにはちょっとハードルが高いかな、という気はしますが… 初心者のために、最悪のシナリオに陥った際の逃げ方まで書いてあげてたらなお親切だったかも。著者は新興市場、IPO、先物等ややハイリスクハイリターンの市場を専門に分析してきた方で、投資信託についてもその血脈を感じるものですが、分散投資ばかりが提唱される中であえてリスクを充分理解したうえでハイリターンをとりにいく、パフォーマンスを出してこそ投資、という最もシンプルで根源的なものを私たち投資家に再認識させてくれています。大事な事なので2度書きますが(笑)実際に投資するかどうかは別として、今のニッポン、ある意味この種の元気、必要かも、と思います。
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