今回の、ヴィム・ヴェンダース・セレクションのバラ売りの目玉は、やはり「パリ、テキサス」。
この作品は、傑作中の傑作。長い間、廃盤となっていたので、待望の再発といえるでしょう。
しかし、この「アメリカの友人」も、忘れてはならない傑作です。
芸術性と娯楽性を兼ね備えた本作は、ヴェンダース作品では珍しい、サスペンスという点においても、一見の価値ありです。
この作品で印象に残るのは、「赤」。それは、白血病のヨナタンの血の色、殺人の色。作品の要所要所で、この「赤」が使用されています。
パトリシア・ハイスミスの原作に、ヴェンダースが脚色を加えた本作は、「パリ、テキサス」にも、引けをとらない傑作。
美しい映像に目が奪われます。ユルゲン・クニーパーの音楽に耳を奪われます。そして、秀逸なストーリーに心が奪われます。
まだ、ご覧になられていない方は、映画の世界に引き込まれると思います。既に、ご覧になられた方も、観る度に、発見と衝撃があるはずです。
また、デジタルニューマスター版、ということで、期待度も★5つです。
見終わった後、悲しい気持ちと、これで良かったのかも・・・という、不思議な気持ちになりました。前作といわれる「ベルリン天使の詩」とは一見対照的であるけれど、誰かを心から愛しく思う気持ちを表現している部分は同じだと思います。不完全ながらも、一生懸命に生きようとしている人間や天使が愛しく思えます。とても素敵な映画です。
このBOXの編集意図はヴェンダーズの求める映画における「画=イメージ」の形、その希求の道程を示すことにあるのではないでしょうか? 例えば、『東京画』ですが・・・。小津安二郎が、不朽の名作「東京物語」(53)を生んでから30年後。彼を深く敬愛する映画作家ヴェンダースが、現代の東京を訪れる。小津映画ゆかりの2人の映画人との感動的な対話を通して、雑多で無秩序なイメージが氾濫する街にも、汲み尽されていない純粋な「画=イメージ」が、いまだ存在することを確信するに至る経緯が、旅日記風に描かれていくドキュメンタリー作品です。単なるオリエンタル趣味のお気楽外国人の珍道中記などではないことは明らかです。この映画でなされた哲学的思索が、次作「ベルリン・天使の詩」(87、カンヌ映画祭監督賞)で結実、それが珠玉の映像詩として世界中で絶賛されることとなると考えられます。
人間の心のつぶやきというのは詩的だ。と言うか詩は心の声そのもの。 とにかく、心の声が聞こえてくる、その設定だけでこんな人間ドラマを 作ってしまう発想がまず素晴らしい。 さらに、人生は楽しいことばかりじゃない。むしろ辛いことの方が多い。 なのに天使は、セーフティで永遠の存在ではなく人間になることを望む。 そして誰かを愛することで、その視界はにわかに色彩を帯びる。 こんなにも静かでそしてこれほどまでに力強い、人間として生きること への賛美! この作品が愛される理由が、静かに、しかしながらくっきり感じ取れる。 この良さをいつまでも感じ続けられる人間でありたいと思った。名作。
以前発売されたデジタルニューマスター版は英語タイトルロールだったので残念に思っていた。(イマジカ版はドイツ語タイトル)最初のわらべうた、台詞のほとんどがドイツ語であり、パッケージや解説リーフレットを見て鑑賞を楽しみにしていたが非常に残念であった。今回発売するBlu-rayに期待します。 ※追記 この商品はパッケージはドイツ語タイトル。本編は英語タイトルだと…これは詐欺だ。
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