かわぐちかいじの『太陽の黙示録』のアニメ化。原作は『沈黙の艦隊』や『ジパング』に優るとも劣らない秀作である。大地震の連鎖と富士山の噴火によって分断された日本列島。国連の名の下で「復興」と称して出張ってくるアメリカと中国。そして苦汁の決断として南北を分断して「復興」することを決意する日本。その狭間で柳舷一郎は強く逞しく誠実に生き、成長を遂げていく。少し『三国志』を意識しているらしく、人間ドラマを交えながら災害と向き合っていくストーリーである。しかし、リアリティーを追求した原作の漫画に比して建物やメカの粗が少し気になった。時間や予算に限界があることは察するに余りあるが、もっとじっくり丁寧にアニメ化してほしかったと思う。あまりにも一気に駆け抜けすぎた感じがあったのも少し残念だった。 太陽の黙示録 前編-海峡- [DVD] 関連情報
あの大震災から15年。柳舷一郎は台湾にいた。しかし、すでに台湾でも日本人と台湾人の軋轢は各所で深まりつつあり、避難民キャンプから離反した一部の過激派グループが武装蜂起を画策する。そして柳舷一郎は、これ以上の流血を防ぐため、避難民達とともに行動を開始するのであった。原作が『沈黙の艦隊』や『ジパング』に優るとも劣らない秀作であるため、ストーリーの展開は圧巻である。原作の「アレがない」とか「コレがない」という批判をしなければ、スッキリと見られる内容であった。とりわけ、特典映像で樋口真嗣が「よくまとめたなと思いますよ」と言っている通り、時間や予算に限界があった中で要点をきっちり押さえている点は、良かったと思う。ただ少し苦言を呈せば、やはりもっとじっくり腰を据えて丁寧にアニメ化してほしかった。原作を考えれば、前後編で制作するアニメではないだろう。これを足がかりに長期的展望を持ってリメイクされることを期待したい。 太陽の黙示録 後編-国境- [DVD] 関連情報