性格が正反対の姉妹が、結婚をし、夫人になるまでの過程が書かれています。この本を読んで感じた事は、分別と多感、どちらが一番良いかではないという事。分別がある姉と、多感な妹。二人共、長所だけではなく、短所も見られました。どちらかに偏るのではなく、分別と多感、両方持ち合わせることが大事なのですね。この時代は、イギリスに限らず、政略結婚が多いイメージがありましたが、必ずしもそうではないのだなと感じました。魅力的だった登場人物は、パーマ夫人とブランドン大佐です。パーマ夫人は、夫に夢中で、まさに理想の夫人です。私も結婚をして、そんな夫人になりたいと思いました。ブランドン大佐は、紳士で目立ちたがらず、私の永遠の憧れになりそうです。この物語は、現代小説のような、胸の高鳴りは望めませんが、気持ちを安らかにしてくれます。自然と、立ち振る舞いも上品にさせてくれます(笑)翻訳については、読みにくい部分もありましたが、ゆっくり読めば理解できます。 いつか晴れた日に―分別と多感 関連情報
2012年9月に発売された「いつか晴れた日に [DVD]」のブルーレイ化です。映像特典は未公開シーンを除きすべて差し替えとなりました。新しい映像特典はそれなりのものですし、この映画が好きな方ならDVDをお持ちであっても、ブルーレイのきれいな画像への期待を含め買われる方もおられると思います(私のように) でも、このブルーレイにはなぜか、あのDVDの映像・音声特典がついていないのです。エマ・トンプソンの圧倒的な受賞スピーチも、エマ・トンプソン&リンゼイ・ドーラン(製作)の話し出したら止まらない音声解説も入っていません。映画も良かったですが、特典もそれに負けず良かったのに。なんで抜いてしまったのでしょうか。 本作はジェーン・オースティンの映像化としてはコリン・ファース主演「高慢と偏見」と双璧だと思います。エマ・トンプソンとケイト・ウィンスレットという演技派女優のうまさはもちろんのこと、脇役陣の皆さんもいい味を出しています。特に三女マーガレット役エミリー・フランソワのお茶目ぶり。原作ではほとんど印象に残らず、過去の映像化では外されることもあったマーガレットですが、この映画では大活躍しています。 脚本は必ずしも原作に忠実というわけではありませんが、原作の雰囲気をよく出しています。特にオースティンらしいクスッと笑わせるユーモアや人に対する暖かさがあちこちにちりばめられて飽きさせません。出演者の年齢が原作よりも全体的に高くなっていますが、現代ならむしろこの映画の方が年齢的にしっくりするように思います。 ということで映画だけなら星5つですが、DVDの特典映像と音声が無くなった分を引いて4つとしました。 いつか晴れた日に [Blu-ray] 関連情報
映画『タイタニック』にも出演したイ・サロニスティが、格調高い映画音楽の調べを披露してくれます。『カサブランカ』の『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』や、『ティファニーで朝食を』の『ムーン・リバー』には、もううっとり。知らず知らずのうちに銀幕の主人公になったような気分を味わえます。最後に収録された『タイタニック・メドレー』も嬉しいサービス。いろんなところで聴く機会の多い曲ですが、演奏者が変わるとこうも違って聞こえるのかと驚かされるばかり。まさに名曲の珠玉集です! フィルム・ミュージック 関連情報
中野康司氏の訳は、200年前のオースティンを身近なものにしてくれます。オースティンの最初の小説だけあって、初々しさなのか、ちょっと説明が長くまどろっこしい箇所もあるのですが、それをうまく切って日本語に訳してあると感じます。分別のありすぎる姉エリナーと、情熱のありすぎる妹マリアンの姉妹の物語は、どちらが正しいのか?と何度も考えてしまう知的だけれど笑いもある面白い内容です。深刻な内容の中にも必ずユーモアが入るオースティンの表現が、にやっとする日本語で表現されているのでオースティンが書きたかったものがしっかりと日本語でも伝わってきます。こういう風に日本語で楽しめるのはありがたいです。434ページから457ページまでのウィロビーの弁明、どこまでもしゃべり倒すウィロビーは、よくよく考えると自分勝手な男なのですが、なんだか同情してしまう、でもやっぱり間違ってる、とエリナーの気持ちになって読んでしまいます。映画「いつか晴れた日に」では、このウィロビーの弁明シーンはカットされていたので、本を読むとますますウィロビーがどういう青年だったのかがよく分かります。私はオースティンの悪役の中で、ウィロビーが一番だと感じます。年収2000ポンドは、今の価格だと2000万円くらいだそうで、ブランドン大佐はかなりのお金持ちですね。お金の価値観についても書かれていて、話が夢物語の平面ではなく立体で現実味を帯びる気がします。ジェイン・オースティンは本当に面白いです!何度読んでも飽きません。中野氏の訳で、未完の作品や、初期の習作も読みたいです。訳はいろいろあるほど楽しめます。 分別と多感 HQファスト・フィクション 関連情報
素晴しいタイトルをもつオースティンの傑作 “Sense and Sensibility”が文庫化された。『いつか晴れた日に』という題名の真野明裕訳で読んだ人も多いだろう。冷静で気配りに満ちた優しい姉エリナー(=分別)と、奔放で情熱的な妹マリアン(=多感)が、それぞれに恋をして結婚するまでの、コミカルで楽しく、後味のよい物語。『高慢と偏見』や『エマ』とはまた違った味わいがある。たとえばエリナーは、密かに恋していた相手エドワードが結婚したと思い込んでいたが、それは彼ではなく弟の間違いと聞かされて、うれし泣きする。じっと耐えてきた彼女が舞い上がる最高のシーンだ。その箇所の二つの訳を比べると、違いは文章の切り方くらいで、どちらもとても読みやすい。「エリナーはもうその場に座っていられなかった。走るようにして部屋を出て、ドアが閉まったとたん、うれしさがこみあげてわっと泣き出した。この涙は永遠に止まらないのではないかとさえ思った」(中野訳)。「エリナはもはやじっと座ってはいられず、走るようにして部屋を出た。ドアが閉まったとたん、堰を切ったように嬉し涙が溢れ出し、もう止まらないのではないかと初めのうち自分では思った」(真野訳)。「Elinor could sit it no longer. She almost ran out of the room, and as soon as the door was closed, burst into tears of joy, which at first she thought would never cease.」(原文) 分別と多感 (ちくま文庫) 関連情報