ピアノの音の美しさ、ころころと転がっていく演奏の流麗感、溌剌としてダイナミックな演奏の中にこぼれんばかりの才能が湧き出しているところなど、サン=サーンスの『ピアノ協奏曲第5番 〔
エジプト風〕』でのピアノがとても素晴らしかった! 殊に、第2楽章のゆったりとしたテンポで流れ下っていく異国情緒の歌い口と、終楽章のほとばしる疾走感がよかったですね。うーん、これはすごく、激しく感動したなあ。サン=サーンスの曲でこれほどの演奏を聴くことができたのは、デュトワ指揮モントリオール響による『交響曲第3番 〔オルガン付〕』のレコード以来かな。
ピエール・デルヴォー指揮NHK交響楽団の付けは、まずまずの出来映え。録音は、この当時(1965年1月27日 東京文化会館でのライヴ)のものとしては悪くなかったと思います。田中希代子さんのピアノの音がくっきりと捉えられていたところ、私は◎を付けたい。
それにしても、この「
エジプト風」での素晴らしいピアノ演奏を聴くと、田中希代子さんの早すぎた演奏活動の中止(膠原病のため、手の指が開かなくなる)が、本当に残念でなりません。でも、このライヴ録音がこうして発売されたことには、深く感謝したいですね。関係者の方々、ありがとう!
次週までに譜面を用意しなければならなくなり、近場の
店舗にはすぐには行けず、行けたとしてもある保証はなく、そんなときはアマゾンは本当に助かります。
田中さんの演奏はとても力強く聞き応えがある。
残念なのは、
ベートーベンのオーケストラが若干ピアノ負けしていること。
ヨーロッパのオーケストラのモーツアルトと聴き比べると若干おとって
しまっているのが残念。
結果として、☆3つですが田中さんの演奏を堪能できる
すばらしいCDであることは間違いないと思います