石油、金属、代替燃料などの主要資源について、今後どのような争奪戦が行われるかを解説している書籍である。
著者は、丸
紅経済研究所の所長であり、資源問題の専門家であることから、本書の内容には説得力がある。
本書のよいところは、石油や
レアメタルなど、主要なトピックについて、複数の視点から資源を確保するための
課題、今後想定される紛争環境を分析しているところにある。資源問題を研究している研究者やエネルギー分野
を担当している商社の人であれば、とても参考になる内容といえるのではないか。
ただ、「2030年の危機」というサブ
タイトルに惹かれて購入したのだが、あくまで分析のメインは近未来であり、
2030年までのロードマップが示されているわけではない。私のように、未来分析の資料として買ってしまうと、
些か期待を裏切られることになる。
また、資源争奪をテーマとする最新レポートと書かれていたので、いろいろなデータ示されているのかと考えて
いたが、データ分析は部分的であり、文章での解説が主体であった。
即ち、本書を「近未来の資源争奪環境を理解するために読むもの」として購入するのであれば、ぴったりの本だ
と思うのだが、「資源関係の未来分析に役立つ情報を得る資料」としては物足りないと思う。