個人的に生まれてから見た大河の中でこの「秀吉」が一番好きだったんですが、
思い出って知らず知らずに美化して補正をかけるから、いざ見てみるとそうでもなかったってことが
往々にしてあるんです。何分古い作品だし、それほど期待せずに見始めたんですが……
なんと開始10分で目に涙が。
昔の大河って泣けるものだったんですね。びっくり。
総集編だから、初めから最後まで名シーンのオンパレード。人間味あふれる
竹中直人や
渡哲也など名優たちの
重厚な演技と素晴らしい脚本に心が震わされっぱなしです。気づけば休日を1日つぶして、一気に見終わっていました。
この作品のエンディングはとても印象的で、人々の色んな思惑や感情が入り混じりながらも、まるで最後の夢のように、満ち足りた空間の中で終わる。
そこまでたどり着く過程が本当にしっかり描かれているから、色んな感情が呼び起こされて、感動が込みあがってくる。
これこそ万人を惹きつける本物の重み、真のエンターテイメントです。これに比べたら近年の大河なんて本当にゴミじゃないですか。
何でNHKは高い受信料でゴミなんて量産してるんでしょう? 理解に苦しみます(NHKに限ったことではありませんが)
映像もまったく気にならなかった。考えてみれば平成に入ってからの作品ですもんね、今とさほど変わりない。
合戦シーンとかは最近の大河よりぜんぜん気合が入ってる。今のは本当にしょぼい。
本編の方はあまりに高いから、こっちを選択したんですが…そっちも欲しくなってしまいました。
NHKにはもっと値段下げてもらいたいな…。
※秀吉が中国大返しで、雨の中をふんどし姿でを走りながら「信長さまぁぁぁ」と号泣しているシーンが
強く印象に残っていたのですが、総集編ではカットされていました。個人的にとても残念です。
『新史 太閤記』(司馬遼太郎著、
新潮文庫、上・下巻)は、周知のように
豊臣秀吉の出世物語であるが、著者一流の新解釈で秀吉を現代に甦えらせている。
織田信長や
徳川家康からも多くのことを学ぶことができるが、ビジネスパースンの視点に立てば、秀吉の生き方が一番参考になるだろう。なぜならば信長、家康が生まれながらの戦国大名で多くの家臣(部下)がいたのに対し、秀吉は組織め一番下からスタートした人物だからである。
ビジネスパースンとしては、秀吉が「気配り」の人であり、「雑事を片づける」名人であったことに注目すべきだ。常に壮大なテーマの仕事ばかりしていたと思われがちだが、木下藤吉郎時代の若き秀吉は日常の雑事を片づける名人であり、そのことを大きな仕事に繋げていったのである。
一流のビジネスパースンも、やらねばならない雑事は忘れないようにその場でメモしておき、細切れ時間を活用して片づけている。大きな仕事は雑事というピース(断片)から成り立っているジグソー・パズルのようなものと割り切り、楽しみながら雑事を片づけられるようになればしめたものだ。
歴史小説の面白さを知るには司馬遼太郎の小説が最適であるが、ビジネスパースンにはこの『新史 太閤記』から読み始めてほしい。
秀吉の生涯について学ぼうと思ってこの本を選んで正解だった。
著者の小和田さんが数々の資料から本当の秀吉の姿を浮き彫りにしていくのがとても面白かった。とくに秀吉の父は誰だったのかという話はちょっとページが割かれすぎているきらいはあるが歴史研究のプロセスを垣間見ることができて興味深く読めた。
織田信長の軍組織に雑用係として採用されてから次々と戦果をあげて出世していく話は「
のらくろ」みたいで日本人が大好きな典型的ストーリー。尾張からスタートして近畿をおさえ中国地方をおさえ、
四国、
九州を占領そして関東まで統合していく、それが城をひとつひとつ落としていくわけだからゲーム「信長の野望」の通り。
さらにこの本は秀吉の朝鮮出兵の話にもページを割いている。ここは秀吉の暗部であり、太閤様の栄光において決して多く語られない話で、その真相をじっくりと教えてくれるという意味でとても価値がある。
小和田さんはそこからさらに論を拡げ大東亜戦争でこの太閤伝説と朝鮮出兵が軍部により捻じ曲げて利用され朝鮮、中国、その他アジアの人々をいかに不幸な目にあわせたかという苦い歴史についても論を講じている。
本当の秀吉とその歴史の上に秀吉自ら作った伝説やその後の権力者による政治的利用が重層にかさなりあったイメージを我々が植え付けられていることがよくわかった。