ハンブル・パイを脱退しスティーヴ・マリオットと決別したフランプトンが、地道な音楽活動に入りCAMELというバンドを結成した際に発表したのがこの『フランプトンズ・キャメル』だ。(アルバム・
タイトルとして表記されているが、この当時の彼のバンドはCAMELと名乗っていた。)
ザ・ハード、ハンブル・パイにおいてそこそこの成功を収めていた彼であったが、ハンブル・パイ脱退後はしばらく不遇の時代を過ごす事になった。しかし母国のイギリスではなくアメリカでの成功を夢見て、地道にライブ活動を続ける。バンドのメンバーの離合集散もあったと聞くが、しかしその苦難を乗り越えてあの大ヒットアルバム『COME'S ALIVE !』が生まれたわけで、実力でアメリカのファンを味方につけた努力とガッツには恐れ入る。
この『フランプトンス・キャメル』だが、今聴いても非常に良く仕上がったアルバムで、これで鳴かず飛ばずだった当時の彼はまさしくツキに見放されていたとしか言いようがない。若干地味な作風である事は否めないが、当時としては繊細でキメ細やかなアルバムになってはいるものと思う。アコースティックでメロディアスな楽曲の比率が高く、ハンブル・パイ時代の豪快なサウンドを期待したファンには少し物足りなさがあったか。「ホワイト・シュガー」のようなルーズなR&Rの楽曲がもう2,3曲入っていたら、この作品のセールスも芳しいものになっていたのではないかと推測される。あえて選んだ作戦だったのかも知れないが、ブルースギターも上手くキャッチーな楽曲も書けるという自分の“売り”の部分を把握しきれていなかったのかも。
フランプトンは今でもライブ活動を行っている。『COME'S ALIVE !』で売れに売れた「Show me the way」を、今でも得意のトーキング・モジュレーターを使って演奏しているらしい。トシを取っても会場に喜ばれる必殺の1曲を持っているというのは幸せな事だ。山あり谷ありの彼の音楽人生であったが、紛れもなくピーター・フランプトンは音楽の成功者だったのである。
ソロ・デビュー後の2作品をカッ
プリング。2in1ではなく2枚組です。「Wind of Change」は、
タイトルや
ジャケットに込められた決意が作風にそのまま表れています。アコースティック・ギター主体の曲でも、さりげなく彼はブリティッシュ・ビートの香りを匂わせています。それは歪んだギターであったり、60年代風のエレピであったり、コーラスであったりするわけです。しかし地味と言えば地味。どうもハードな音楽をハードなまま提示することにフランプトンは疲れていたのではないでしょうか。いいアルバムです。自分の甘さ、屈託のなさを判っていて、それを無理なくわたしたちに届けてくれます。
「Frampton's Camel」は、自身のグループ結成を図った作品。メロディメイカーとしての彼の魅力が開花したアルバムです。本格的に米国ポピュラー音楽のエッセンスを吸収しています。エンジニアにはエディ・クレーマーの名前もあります。フランプトンは、改めて憧れていた米国の音楽仲間と共演できて幸せだったでしょう。どの曲も覚えやすいリフレインと綺麗なメロディを持ち、フランプトンの歪んで美しいトーンのギターが流れています。この作品以後、無理するようなシャウト唱法は少なくなりました。新たな環境からの刺激を吸収していた時代で、「Frampton」「Framton Comes Alive」で爆発する体力を貯めこんでいたのでしょう。確信的なギターの音にそれを感じます。
メロディメイカーとしての彼の魅力が開花したアルバム。この作品から活動拠点を米国に移し始め、本格的に米国ポピュラー音楽のエッセンスを吸収しています。エンジニアにはエディ・クレーマーの名前もあります。この頃、英米のミュージシャンの交流は今ほど自然なものではなく、ロッド・スチュワートでさえ大西洋を渡ることを人生の区切りと考えるような大袈裟さがありました。フランプトンは、改めて憧れていた米国の音楽仲間と共演できて幸せだったでしょう。何しろ、ドゥービー・ブラザーズを初めて見て「わあ、ドゥービーだ」という曲を作ってしまうぐらいです(これは次作の話)。どの曲も覚えやすいリフレインと綺麗なメロディを持ち、フランプトンの歪んで美しいトーンのギターが流れています。
書かせてもらえれば、スティーブ・マリオットとの対比がきちんと現れた作品です。米国に憧れていたのはマリオットも同じ。フランプトンとの違いは、マリオットが重いR&Bを好んでいたことです。また、フランプトンがソロになって開花したのは曲づくりのほか、歌い方でもあります。ハンブル・パイでは、不世出のボーカリスト、マリオットに引っ張られてしまっていました。だからこの作品以後、無理するようなシャウト唱法は少なくなりました。
セールスを二の次にして新たな環境からの刺激を吸収していた時代。体力を貯めこんでいたのでしょう。確信的なギターの音にそれを感じます。