人は誰でも自己嫌悪に陥ることがありますが、この作品は作者自身が主人公に自らを重ね、徹底的に人の心の奥底をのぞき込んで、偽善、欺瞞に満ちた深層心理を徹底に的にえぐり出すように描写しています。
それだけに、読む人にとっては不快に感じる場面が多々あるのですが、それでも引き込まれてしまうのは、作者が目を背けることなく徹底的に心の奥底を見つめてその心模様を見事な表現力で描いているからだと思います。
作者自身、最後は自らの命を絶ってしまうのですが、徹底的に自己を見つめ、突き詰めるすさまじい迫力が太宰治の魅力で、その真骨頂がこの作品だと思います。
値段で購入を躊躇っている皆さん、その気持ち分かります。
私もさんざん悩んだ挙句「1CLICK」をクリックしたときは、
「やっちゃったかなー」と思いましたもの。
でも、聴いて納得。これは値段以上の価値がありますよ。
いなかっぺいによる津軽なまりの朗読も聴きごたえたっぷり。
「畜
犬談」「きりぎりす」「皮膚と心」「葉桜と魔笛」などは、
小品だからと安易に選ばれたのだろうと思ってあまり期待せずに
聴きましたが、なかなかどうして。まったく聴かせます。
「畜
犬談」なんかはそのまま落語としても通用するのでは?
岸田今日子による「ヴィヨンの妻」、
奈良岡朋子の「斜陽」全編朗読は、まさに贅沢なひと時。
名優たちが自分のためだけに朗読してくれる、
特別な時間を満喫することができました。