著者は、ネットビジネスのカリスマと呼ばれる和佐大輔氏。
和佐氏は、12歳の時に、海岸から海に飛び込んだ時、テトラポッドに激突し、首から下の機能を失った。
私は、最初は、そのハンディを、著者がどう乗り切ったのか、という「生き方」を求めて読み始めた。
つまり、どこかに、「感動」を求めていたというか。
だが、その「狙い」は、見事に裏切られた。
著者の言々句々からは、身障者だけど悲哀を乗り越えて頑張った、という感覚が、全く消えていくのである。
ハンデを乗り越えるというより、ハンデなど全く問題にしない境地にまで達した感じなのだ。
人生全般への目配りが利き、本質を見抜き、しかも柔軟性があり、感覚がシャープ。
短時間で読める書物であるが、悟りにも似た次元からの著述の連続なので、得るものがとても多い。
一例を挙げれば、「ハイパーデジタリアン」という考え方。
1、情報の価値判断ができること。
2、最低限の情報に対するリテラシーを備えていること。
3、情報にいつでもアクセスできる環境にあること。
この3つの条件に該当する人間のことである、と定義している。
私は、実に的確な定義であると感じるのである。
その他、様々な発想が紹介されるが、その一つ一つが、超越的なほどシャープなのである。
和佐氏は、くわえた割り箸一本でパソコンを操作し、年収1億円もの年収を稼ぐ人なのだが、この頭脳を以てすれば、むべなるかな、である。
本書の
タイトルは、頭を強打して、下半身不随になった原因のテトラポッドに感謝して、300万円を捧げたとの事実から採られているが、後半では、そのことは、関係ないほどのハイレベルなビジネス論、生き方論に移っていく。
こけは、そんじゃそこらのビジネス論とは、レベルが違う。本質に迫っている。
これは、並の本手はない。
特に、若い人には、現実的な人生論、ビジネス論として、ぜひ読んでほしいと念願する。