魯山人といえば某有名なグルメコミックを思い出す人もいるはすだ。魯山人を目標とし「美食倶楽部」を経営する父親と反目する息子が料理対決を繰り返すという「あの」有名コミックだ。
そのコミックには
フランスの伝統ある鴨料理店で、調理中の鴨を持ってこさせ、有名店のオリジナルソースではなく、わさび醤油で食べたという魯山人の奇抜な行動が引き合いに出されているが、この本によると事実らしい。その行動の背景を含めた詳細も一読の価値がある。
もちろん、グルメに関する本であり、ふぐ、うなぎ、あゆ、はも、ぐじ(甘鯛)など高級食材が満載である。しかし意外に豆腐、納豆、かぶなどの庶民的な食材も登場し面白い。また初版は昭和30年代に発行されているので食材の値段などが現代とは異なるが、グルメの対象となる食材というものが意外に変化しないということもわかり面白いと思う。「変わらない美味しさ」を知りたいなら、読む価値がある一冊。