平泉が世界文化遺産に登録されたことで、
観光、歴史の中にようやく登場した
奥州藤原氏の詳細な歴史書である。
どちらかといえば、奥の細道などに先行された
過去の栄華的見方から一転、積極的な歴史として
考察されている。
坂上田村麻呂以降の東北地方の空白の歴史
についても、少ないながら、安倍氏、清原氏、
前九年の役を通し言及されている。
重要なポイントは、彼らが一貫して朝廷に反抗し
蝦夷が政治的にまとまろうとしたという従来の見方
とは別に、平安後期の院政の一環として、
蝦夷の支配を任されたという見地、それ故
奥州藤原氏の
隆盛を可能たらしめたという考え方だ。
源頼朝により滅ぼされるまでの奥州藤原3〜4代の
栄華は、今では
平泉に残されるのみである。
しかし、その文化は「鎌倉」に先んじて世界遺産に
登録され、今彼らの精神的高貴さが、現代の我々や
世界に認められたのである。
奥州藤原氏と朝廷・武士(中央権力)との関係が、
「フクシマ」と一部重なり合ってしまうのは、
私だけだろうか。
末筆だが、不屈の精神で復興されることを願って止まない。