学生時代に出会いました。この本から北杜夫にどっぷりはまり、
新潮から出ている本はすべて購入しましたが、「どくとるマンボウ航海記」が結局一番だったと思います。何を書いても素直に受け入れる気持ちになれるのは、日本作家では珍しい優れたユーモアセンスのおかげですね(才能ゆえ鬱病になるのですが・・・)。本当に面白い本ですし、薄い文庫本ですから出張の電車の中で読むのにはぴったりなんですよね。前向きで明るい気持ちになれること受けたいです。旅に出たくなるという副作用もありますが。
1960年度上期の第43回
芥川賞作品である。
一般には、「どくとるマンボウ」物のユーモア作家が、戦争犯罪に正面から取り組んだ意欲作である。最初に読んだ時には、「この人はまじめな日とか、お笑いの人か?」悩んだが、そういう二面性はその後受け入れられるようになった。
医師として、この作品は書かざるをえなかったのではなかろうか?
ところで、同じテーマは、1955年度上期の33回
芥川賞を「白い人」で獲得した遠藤周作が、「海と毒薬」で後に取り扱っている。
深刻な問題を正面から取り上げた二人が、他方で「どくとるマンボウ」と「狐狸庵」先生として様々なユーモアに富んだ共著を出すのは、偶然なのだろうか?不真面目なのだろうか?
彼らとて、緊張だけではやっていられないのであろう。
深刻な問題とユーモアの落差があれば、あるほど、深刻な作品の深みが増すといったらいいすぎであろうか?
なお、遠藤周作については、いずれリストマニアを作ります。