あのボーボボの作者に一体何が!?
…と、数年前から話題になっていた作品です。
実際読んでみると、やっぱりボーボボの作者だと実感できます。
まず、ギャグのテイストが読み切り時代の落ち着いた間の取り方に戻っています。
読み切り時代を知らない人はピンと来ないかもしれませんが、
ボーボボの本誌連載が始まった直後は、読み切り時代のギャグのほうが良かったという意見も多かったのです。
しかし週間連載では間が持たないため、勢い重視のギャグに切り替えたのです。
未見の方は
ボボボーボ・ボーボボ? 1 澤井啓夫短編集 (ジャンプコミックス)を一読してみて下さい。澤井先生の本来のテイストが味わえます。
次に絵柄の変化ですが、元々澤井先生は可愛いキャラを生み出す才能はあったはず。
可愛いキャラ達はボーボボの密かな魅力でもあったように思えます。ただ絶望的に画力が足りなかった。
かわいいキャラにかっこいいキャラが活躍する王道マンガに憧れていた作者が、画力の足りなさから王道路線を断念せざるを得なくなり
その無念さがボーボボのアンチヒロイズムな不条理ギャグを生み出していたのかもしれません。
その作者が今、その培った画力と読み切り時代のギャグテイストを駆使して
かつての鬱憤を晴らすかのようにキャラを可愛く描くことに全力を注いでいます。
言うなればこのマンガは、ボーボボの密かな魅力を別の形で表現しているように見えます。
かつての不条理ギャグを期待している人は肩透かしをくらうかもしれません。
それでもボーボボが好きだった人なら一度は目を通してみても損はないと思います。
作者の何が変わって、何が変わらなかったのか、是非ともその眼で確認してみてください。