本書はとにかく、でかくて、分厚くて、重い。A3変形版の600ページ。ひー。
図書館で借りようとしたが、現物を見て、持ち帰りをあきらめ閲覧室で眺めることにした。
マグナムは、ジャーナリスト、ロバート・キャパらが1947年に創設した写真家集団だが、本写真集では、マグナム所属写真家の作品が一人数点から10点程度、他己紹介の様な写真家紹介にもページを割きつつ、400枚超紹介されている。
wikiによると現在のマグナム正会員数は50名程度だそうで、日本語wiki上に個別記事があるのは数人なので、多くの日本人にとっては、写真家集団マグナム?聞いたこともない、という人が大半だろう。
私自身もこれまで写真作品に特に興味があるわけではないので、写真家の中で知っていたのはキャパ兄弟くらいだったが、本書の写真にはさすがに素晴らしいものが多く、ページを繰るたびに様々なイメージが脳内に喚起される。写真には、眺めるだけでも頭を動かせる力があるのだと、あらためて思わされた。
昔はこういう芸術・報道写真的なポートレートを見てもこういう反応が自分に起きたことはなかったので、年輪ということだろうか。
携帯に高画素のカメラが内蔵される現代、現像代を気にしながら撮影していたのは15年も前の話だ。
今や誰でも安くお手軽に「瞬間」を切り取ることができるが、写真家のとった密度の高い作品はやはり違う。
写真集も良いが、写真展にもでかけてみようか、と思う。
蛇足だが、末尾にあるマグナムの運営
スタッフ部長による、マグナムがどう運営されているのかという紹介は組織運営という観点からも興味深かった。写真家集団という一匹狼的であろう個性派の面々の作品に作家同士の相互キャプションをいれさせるというのは本当に大仕事だった様で、その苦労話(愚痴)にはニヤリとさせられた。
MAGNUM MAGNUM マグナム・マグナム (日本語版)の
コンパクトバージョンですが、普通に見るならこちらで十分です。
本家を一度図書館で見ましたが、デカすぎます(笑)
様々な写真が載っている中で、私が最も気になったのは
P196にある、ルース・ギルデンの写真“ 日本 浅草”です。
ヤクザ風の男が、迫力ある顔でタバコに火を点けてもらっているのですが、
これ、作家の安部譲二さんです。
16歳から暴力団の構成員となった彼(もちろん今はカタギですが)ですが、
撮影時はもちろん足を洗っていたはずです。
ただ、外国人カメラマンが観た日本人の怖さ、不気味さ、侍魂
そんなものを一瞬感じました。
たった一枚強烈なインパクトを感じました。
写真ってのは、見る側になんらかのインパクトを与える事が出来たら
それで成功だと思います。
まさに、この写真集は成功のオンパレードなのです。
Magnum創設に携わったキャパの精神が十分に感じられます。
写真をやってる人も、そうでない人も、十分に楽しめる、そして勉強になると思います。
多くの人におすすめです。