2010年3月27日、シカゴにある(見たところ)千人以下キャパのシアターでの収録です。ベスト盤「Thank You」初回限定についていたDVDのライヴがとても良かっただけに、年を経たことでの衰えなどないか不安を感じていたのですが、全くの杞憂でした。この4人は、世界でもサイコー(と声を大にして言いたい)レベルのロックをここで聞かせてくれます。
6枚目「Stone Temple Pilots」のリリースが5月だったので、このライヴはまだその全容がわかる前、5「Between the Lines」はじめ4曲をやっています。作り立てホヤホヤだけに、4人の演奏には全く迷いがありません。どの曲もアルバムよりエッジが立っていて、個人的にはこっちのほうが好きです。
大ヒット曲「Vasoline」で幕開けですが、冒頭の数曲は多少手探り。4「Hollywood Bitch」あたりから彼ららしさが、その独特のヘヴィネス、美しさとともに出てきます。8「Sour Girl」では特にサビの繊細さと美しさが見事に再現され、ハードさと交錯する終盤のアレンジは見事。10「Plush」、ミドルテンポハードネスの神髄極致。13「Huckleberry Crumble」、バンドとしての息がバッチリあっていて、キメのリフでのタメの重たさはハンパない。14「Sex Type Thing」からハードさはさらにギアが入る。16「Lounge Fly」は唯一同期モノ使用なるもロック度は抜群、ロバートの生Gも聴けます。17「Piece of Pie」でキレ、ヘヴィネスは最高潮に、スコットのVoも艶と激しさが見事に同居、エンディング18「Trippin' on a Hole in a Paper Heart」で見事にブリブリぶっちぎり。
ブルーレイですから、リージョン関係なくフツーの機器で観られます。また、20分強のインタビューは字幕が選べます。日本語はないですが、
英語にすると、結構わかります。ぜひとも、どっ〜ぷりと最高のR&Rに浸ってみてください。
ガツン!とエッジの効いた曲はほとんどありません。「No.4」あたりのサウンドを期待してる人の評価はかなり厳しいでしょうね。
ヴァチカンのときも、「ポップすぎる(怒)」なんて言われてましたが、このサウンドは間違いなくSTPなんです。とは言え、かなりスッキリな仕上がり感に、「?!」となってしまうけど、これはSTPの狙いであり、ブレンダン・オブライエンを外した所以でもあるのでしょうか。でも今回も、聞き込めば聞き込むほど、アルバム完成度の高さとSTPのすばらしさを見せつけられます。アルバム
タイトルをバンド名にして、セルフプロデュース。これからのバンド活動への気合いの表れでしょう。
スコット・ウェイランドは、STPですばらしい輝きを放つボーカリストであることは間違いないようです。紆余曲折ありました。ふたたびSTPを聞ける喜びに浸りましょうよ!
新作が5曲で16分半のEPアルバム。“観測
気球”的な印象はあるが、出来栄えは素晴らしい。With チェスター・ベニントンのSTPがスタートを飾るにふさわしい作品に仕上がっている。正直、驚いた。
サウンド面で冒険はしておらず、5枚目以前を彷彿とさせることで、懐かしさすら感じる。でも、長年にわたり大のSTPファンだったというチェスターは、スコットが持つ節回しの粘っこさ、艶っぽい歌唱法、などその特徴をかなり忠実に踏襲した上で、彼らしい伸びやかさをくわえてVoを聞かせてくれるので、新生STPを堪能できる。
本作、ディーン・ロバート・エリックの演奏にはピリピリしたものがない。カッコよくソリッドで
タイトなサウンドは変わらないが、たとえばGソロにはどこかゆとりが感じられる。よっぽど、スコットとのワークは彼らにとってストレスがたまるものだったのだろう、その解放感は相当なもの。
「リンキンは大事だけれど、STPもしっかりやる」とチェスターが宣言しているから、期待のフル・アルバムはそう遠い日ではなさそうだ。今から待ち遠しい。