よほどの漫画通でない限り、若い人は、水野英子という漫画家をよく知らないのではないでしょうか。手塚治虫に見出され、中学生ながら
メジャー誌でデビュー。(貸し本でデビューするのが当たり前の時代)その女性とは思えない力強い描線と、華麗な絵柄、卓越したデッサンで、男性作家ばかりの中であっというまにトップの座に。
元祖少女漫画家として1960年代には、少女漫画の女王、女手塚と呼ばれ、現在の大御所24年組の憧れの大先生であったのです。この作品が描かれた当時は、まさに絶頂期に突入し始めた週刊誌時代の黎明期、物凄く忙しかったそうで、絵の出来から、あまり時間が無かったような印象を受けます。しかし、個人的には、力強さと華麗さのバランスが最も良いのが62、63年だと思っています。その頃に附録として描かれ、当時からすでに入手困難、最近まで、
オークションでも万超えの状態の激レア作品でした。そしてこの作品は、魔夜峰夫という漫画家を誕生させました。魔夜さんが子供の頃、遊びに行った友達の家に、この作品があり、読んで「こんなに美しいものが世の中にあるのか」とショックを受け、それ以来少女漫画にのめりこんで行ったそうです。