殆どどんな建物でも何でも破壊できてしまうのは中々爽快。
英語版だが任務内容に難しい事はない。ただ、最初の任務であるチュートリアルからボタン表記が可笑しく分かり辛い。一応360コントローラーにも対応しているが、接続しているとカク付く現象が起きてプレイし辛くキーボード操作の方が快適。
1.1パッチが出ているが、パッチを入れると重くなりクラッシュが起きるようになるし、シングルプレイには特に支障は出ないのでパッチは入れない方が無難。
『月の骨』に続くシリーズ第二弾とのこと。
読み終えて、さて、この物語を自分の中で消化できたかと自問すると、何かしら底に沈んだ澱のようなものがあることに気づく。
巻末の解説のようなもので尾之上浩司が書いている。
では、<ダーク・ファンタジー>とは何でしょうか。
一言で表現するならば、「人間の内面、特に人間心理の深淵の暗部に焦点を絞った幻想小説」となるでしょう。
(中略)
要約すれば、<ダーク・ファンタジー>とは二律背反しているもの―それは《現実》と《非現実》であったり、《善》と《悪》であったりするわけです―を対峙させることによって、「人間」というものをより深く描いていこうとする作家たちの表現手段、あるいはムーブメントといっていいと思うのです。
この少し前に、<新しい文学>をその作家たちが説明しているとして
「従来の<文学>が現実を描いているのに対して、ぼくらの<新しい文学>は非現実を描いている」
「現実だけを素材にしただけでは描けない何かを表現したいがゆえに、僕らは<非現実>をとりあげるのだ」
とも書いている。
後の二つの引用内容の当否はともかく、<非現実>によって「人間心理の深淵の暗部に焦点を絞って」いることに成功したかどうかの検討は必要だろうと思われる。
物語は主人公ウォーカーが魅力的なマリスと出会い恋に落ちるところから始まる。物語の五分の一を過ぎたあたりから<非現実>が<現実>に浸食を始める。謎の自転車の男。三十年前に死んだ男の墓石にある自分にそっくりの肖像。
初めは<現実>の側にいる主人公が<非現実>に浸食されていくにつれ、本当の自分を探しだし、その自分と深く関わっている人物と出会い最終的に対決する。
物語の骨格は<不滅の生>であり、また本当の<愛>を求めた人物と主人公の闘いの中で、最初は暗闇の中で右往左往するしかなかったのが、やがて圧倒的だった相手とわたりあうところまで成長する。最後の意外な設定は意表を突く。
問題は、後半にかけて雪崩をうったように展開する物語の流れが、物語固有の属性による「必然」であるかという一点にかかっている。このストーリーはこの設定であればこれが「必然」の流れか? 勿論、物語り方により「必然」は何通りも可能であり、作者の企図により「始末のつけ方」は無限のバリエーションを許す。しかし、少なくとも意外性と意匠の新しさは評価できても、最後の最後にご都合主義的に意味が分散するかありえないことが起こって主人公が勝利するアメリカ映画のように、主人公とある人物の因縁のあれこれかつ最終的な闘いが、<原物語>の言葉によって決着をつけられるのは、唐突でありご都合主義が過ぎるのではないかと思う。
特にキーとなるものが<魔法>であればなおのこと。魔法は物語に於いては正に諸刃の剣となる。最も危険な毒なのだ。それを安易に使ったのでは、設定による必然がもたらす結末に読者が納得できるかどうかが大いに関わってくる。この観点からいえば、つまり魔法を都合よく使ったりすると、作者は好きな時に好きなように物語を終わらせることが可能になる。しかし、それは<禁じ手>だ、と思う。ダークに限らずファンタジーの怖い点は、<非現実>と<現実>の接点のリ
アリティーを感じさせる語り口が説得力を持たないと、仕掛けの大きな寝言になってしまうことだ。そこでは、置いてけ堀にされて進めなくなるか不安を抱えつつやっとの思いでついていった読者が最後に作者に突き放されて脱落し、最後は信者だけが閉じた本を抱えて踊っているだけという事態になる。
だから『月の骨』を読んだあとで『炎の眠り』を読むと、設定の荒唐無稽さが少し洗練されエピソードの積み重ねもより納得できる形で展開していたのに、最後の最後に「またですか」と聊か肩透かしされた不満がやや残る感想となった。次の『空に浮かぶ子供』に期待しよう。
さて標記の件。『月の骨』よりも格段に才気を感じさせる表現が数多く鏤められて、読後よりも読んでいるさ中に感心されられること頻りであった。まだ新鮮さを感じていたころの村上春樹を思い出させた(今は陳腐さにげんなりするけど)。ウィーンの描写も美しいと思う。技巧が安定してきたように感じた。
最後に蛇足を。151ページ10行目冒頭
青鯨なら、開いたパラシュートぐらいの大きい頭のやつ・・・
青鯨? ブルー・ホエール(blue whale)のこと? でもブルー・ホエールはシロナガス
クジラだよな。訳者はプロだし、間違う筈ないよなぁ・・・謎である。