ニューイヤーズ・イブ Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)
監督は、ラブ・ロマンスの名手のゲイリー・マーシャル。全体的な構成として多少散漫な印象も受けるものの、さすがに手堅い演出で最後まで引っ張ります。
大ヒットした前作「バレンタインデー」同様、豪華スター競演で、特別な日に出会うさまざまな男女の8つのエピソードが描かれます。その中でも、去年出会った女性が忘れられない御曹司の意中の女性は、はたして誰なのか? という謎が物語を引っ張っる構成はなかなか上手いです。ただ、恋人たちの群像劇の傑作「ラブ・アクチュアリー」は超えられなかった。
物語には、NYを舞台にしたことで、よりきらびやかに、また時にシビアに、再生への思いが浮かび上がってきます。登場するキャラクターは、ちょっと不器用だけど、懸命に幸せになろうと願う人々ばかり。恋人同士の恋愛だけでなく、友情や親子の愛情、離れてすごす夫婦の絆と、メリハリがあり、それらが少しずつ重なっていることで、ラストには希望へとつながっていく仕掛け。
ミシェル・ファイファー、ザック・エフロン、ヒラリー・スワンク、ハル・ベリー、サラ・ジェシカ・パーカー、ジェシカ・ビール、アシュトン・カッチャー、ロバート・デニーロに、ジョン・ボン・ジョヴィまで、スターを数え上げたらきりがない。
劇中のヒラリー・スワンクのスピーチは、とっても感動的でした。全ての人に、そして震災後の日本へ語っているようにも感じるいいメッセージでした。
また、最後にNG集があるのでお楽しみに。
Goodfellas: Music From The Motion Picture
一本の映画で、映画ファンはもちろんのこと音楽ファンをも同時に魅了する数少ない映画監督であるマーティン・スコセッシの最高の映画が「グッドフェローズ」である。音楽が主役のドキュメンタリー映画(「ラストワルツ」「ライトニン・イン・ア・ボトル」「シャイン・ア・ライト」等)でのスコセッシの才は音楽ファンの誰もが認めるところであるが、劇映画での選曲が彼のもう一つの魅力。イタロアメリカンが好んだドゥーアップの比重を高め、朋友クラプトンのドラマティックな曲を終盤で使ううまさ。「レイラ」と血みどろ映像の合うこと。そして映画の「やりきれない」でも「素晴らしい」の終わり方。最高です。
ゴッドファーザー(THX版)【字幕ワイド版】 [VHS]
洋画ファンになるきっかけになった映画がこの「ゴッドファーザー」です。さまざま映画は観てきましたが、私のベスト3にいつも入っています。
何度も観たい映画、何度観てもおもしろい映画、観る度に感動と新たな発見がある映画、時代に関係なく古さを感じさせない映画です。10回以上は観たと思います。パートIIIまで観てこそ価値はありますが、まずは1作目、単にマフィアの抗争劇というものではありません。アメリカという新天地で生き抜くイタリア移民のコルレオーネ一家の家族の物語でもあります。音楽がとてもよく、宿命と運命に翻弄される人々の愛と魂が悲しく響くようです。この映画(I~III)で私はコッポラ監督と、アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロのファンになりました。
Nobu: The Cookbook
昔、シドニーの本屋でたまたま見つけて気に入ったので買いました。さすがに世界中のセレブが通いつめるレストランだけあってレシピは普段つくるようなものは少ないですが(ロブスターとかアワビとかキャビアなんかが眼に付くかな)、結婚記念日などの特別なディナーにちゃちゃっと作ってあげたら点数稼げると思います。この本で好きなのは外国人が気に入りそうなソース類のレシピが多く掲載されていること。Nobuさんが昔ペルーに住んでいたことがあったらしくコリアンダーやハラペーニョなんか使ったレシピがあって新鮮でした。
1900年 Blu-ray (2枚組)
ベルトリッチは完全なコミュニスト。本作を見ればそれがしかとわかる。
ファシストは徹底的な黒の悪魔、しかも性的倒錯者(ファシスト役のドナルド・サザーランド=この気が狂ったような黒づくめの役がリアルすぎて不気味=が密会場面でのぞき見していた子供をもてあそぶようにして殺す。殺人に性的快感を覚える人物、という風に描かれている。まあファシストの歴史上の暴虐を見れば、これぐらいの表現は「歴史的に」許される)であることが示唆され、徹底的に揶揄される存在だ。赤いリボンを付けた農民や戦う教師が本作での英雄である。
1900年の時代とは、この黒と赤との血で血を洗う戦いが始まる世紀である──という観点から本作は作られた。
だが、イタリア共産党はその後、ユーロ・コミュニズムを模索、今やマルクス主義そのものを捨て去った。今から見て、ベルトリッチ本人は本作をどう評価するのだろうか、むしろそこが知りたい。
小子は5時間一挙上映を本国以外の世界で初めて敢行した日本での初公開ロードショー(本作は1976年に作られたが、史上初の5時間を超える上映をどうするかを巡り日本の映画興行界で議論が紛糾、新興のフランス映画社によるBOW=ベスト・フィルム・オブ・ザ・ワールド=シリーズの一貫としてようやく公開にこぎ着けられた、という経緯がある)にて本作を見た。
教師役のステファニア・サンドレリには高校時代に本当にしびれた(いや失礼、大学時代だった。見たのは1982年12月24日新宿文化シネマ2〈伊勢丹の近く〉と日付ノートにある。30年も経つと、これぐらい記憶というものは曖昧になる)。
もう一つ、ベルトリッチのコミュニスト的拘りを紹介しておく。本作で巴里の夜のシーンが出てくるが、その映画館でかかっているのはフランスの巨匠・ジャン・ルノワールがフランス共産党の求めに応じて作った幻の映画『人生はわれらのもの』(LA VIE EST A NOUS)という日本では公式な商業上映はされていない作品。海外ではDVD化もされアマゾンのサイトにも入っていたので、そちらの方もレビューをしておいた。
そういう感激の経験を同時代でしたことがない人には、今や何の感慨もない映画かもしれない。本作は正に、熱い時代の70年代だからこそ誕生した、正にその時代でなくては作れなかった映画なのである。
すでにBOXのLD、高画質な北米盤DVDも持っている。今さら、こんなバカ高い値段を付けられてはいくらブルーレイとはいえ、買う気は全く起こらない。