まだ生きてる本音の教育―全寮制都立秋川高校
かつて、英国のイートンカレッジを目指した、全寮制のエリート教育高校として話題になった秋川高校だが、この2001年に生徒が集まらない事由にて閉校になった。秋川高校34年の歴史のうち26年に亘って第一線にいた教師・舎監の書であるが、客観的に、冷静に、全寮制教育のメリット・デメリットを綴っており、安穏世代の生徒達より、舎監の教師達の常識、理屈外の、24時間体制の、真摯な働き振り、愛情溢れる生活指導振り、尽力振りに、これが現代の高校の話かと驚かされる。34年の歴史だから、卒業生は6,000人程と推定されるが、ここに書かれていることが本当ならば、実に幸せな、幸運な6,000人ではある。全ての教育者に読んでもらいたい一冊である。
マイ・フーリッシュ・ハート
冒頭で一音だけ抜けてしまっている以外は演奏は素晴らしい。ジャケットも完璧だ。キースの体調の改善も見受けられる。ただ、いつものECMによる戦略になんだか釈然としないのである。いまさらキースに70年代の妖艶な世界観を期待するほうがお門違いというものかもしれないのだが、それでもわれわれがキースに求めるものは本作におけるような完璧なスタンダードだけではない。ハンコックのように無理な解釈でポップスやロックをジャズに塗り替えてみたりするほうがよっぽど寒気がするのだが、どうせならもっと冒険してみてほしい、とキースにも伝えたい。近日発売予定の3枚組み『セッティング・スタンダーズ』ももちろん買うし聴けば感動するのだろうが、その感動もいまから想像のつくものであるところが出来レースのようでわくわくしないのである。
Finale User’s Bible 2008/2009/2010
30日に到着。久々の改訂が出たが、中身は9割同じ。しかし前書きに、「Finale本体に付属のチュートリアルなどで学習
すれば身につくような入門的な質問項目を割愛し、Finaleをある程度使いこなしているユーザーに対象を絞り込みました」
と明記してあるので文字通りであってテクニック実例集であってそこらの解説本のような基本を説明する本ではない。
先頭から読む必要は無いし、必要なテクを目次から見つけて必要に応じてそれを自分の楽譜制作に適用していく使い方だ。
よって購入してから「この〜の説明のあの部分が(不足していて)分かりづらい」とか「このテクを書いてあるとおりにやって
みても同じようにならない」とかいうような人は、正直この本を使うレベルに達していないと理解するべきだ。チュートリアル
やマニュアルを熟読しFinaleの基本を理解するのが先だ。それを分からずにこの本は不親切とか言うべきではないし、その
ようなレビューが今後載ったら無視をすべき。
今Sibeliusという強力なライバルがバージョン6まで(2010年8月末現在)進み、Sibeliusにスイッチする人も多いと言われ
ている。しかしこのようなプロの超絶テクの蓄積があるからこそ、またそのプロ達がそのテクをこのように一冊の書籍に
纏めてくれて一般レベルユーザーに惜しげもなく公開してくれるからこそFinaleを使い続けるのだ。必携の本だ。