ひとり
柴田淳の曲を耳にしたのは有線放送でした。ふと聞いた曲があまりにも印象的で、必死に覚えた短いフレーズを頼りにようやくその曲「未成年」を歌っている柴田淳という人を見つけることができました。
とにかく抜群の歌唱力。そして何の抵抗もなく耳になじむメロディー。アルバムを聞いてみても、期待通りの曲の数々でした。車や家で聞いていると、ふと耳にした友人や家族が「誰の曲?」と、自分と同じように興味を示していました。
しっとりした、落ち着いた音楽と、柴田淳の澄んだ歌声。
どの曲も期待を裏切りません。
STACKED RUBBISH
批判の対象であるR&Bテイストとは、さてどんなもんだ、とワクワク
したが、なんのことは無い、#1、#2だけか。#1はHIP-HOPでは??
冒頭に1曲だけポツンとコレだけでは、そもそもアルバムの構成が問題
ではないか。完全に浮いてますね。質を云々する前の問題。
#2は更に遠ざかって、Limp bizkit等、アメリカのニュー・メタルの
影響ではないでしょうか。#3でやっと変な意味で安心します。これも
聴き覚えのある、クランチ系高速リフのイントロですが。
彼ら一流のトレーサビリティで、良くも悪くも痒いトコに手が届く曲が
多いので、自然と耳に馴染む。影響を受けた音楽を、これほど素直に
加工→製品化する彼らは、V系・ヘヴィロックのファン以上にファン
なのだろう。本人達が楽しむ才能によって、V系トップクラスのポジション
を確立する希なグループ。
voの歌い回しに種類が増えた反面、V系特有の滑るようなアクが抜けた。
ミディアムテンポでも、ムダを排した情感オンリーの歌い回しであり好感。
それ以外の疾走チューンも単純に気持ちよい。アコギ、女性コーラス隊を
配した曲も健在。これは専売特許として認定できるし。
私は#11で大いに結構気持ちよくなれたし、#13のパワー・バラードは
彼らのメロディセンスも光る、泣きの逸品で非常によい。
なんか、常に批判の耐えない彼らだが、NIL以降久々に聴いてみて、充分に
成長も感じられたし、別段目くじらを立てるようなモンでもなかった。
損をしたり、イヤな気分にはならないですよ。
DS Grand Theft Auto CHINATOWN WARS 輸入版:北米
GTAシリーズ最新作がまさかのDSに登場。いまさらトップビューなんて、2Dなんてと、実際に遊んでみるまでは若干の懸念がありましたが、まったくの杞憂に終わりました。建物や車など実際は2Dではなく3Dですし、グラフィックは街の細部まで描きこまれていて、臨場感を盛り上げるリアルな効果音とあいまって、街が生きている感じというのが伝わってきます。プレイし始めてすぐに、ああこれは間違いなくGTAだなと感じました。
マイク、タッチペンの使い方も「なるほど、こういうところで使うか」と、そのセンスには感心させられました。まあ、タッチアクションのゲーム性自体は大したことないんですけどね。DS市場が成熟していくにつれて、マイクやタッチペンの存在感が徐々に薄まりつつある中、「DSが本来持っていたはずの機能をできるかぎり有効活用してみました」という姿勢が見えるのが好印象です。個人的には、DS初期に初めてDSのゲームに触れた時のような新鮮さを覚えました。
唯一のネックは北米版ということで、ストーリーはもちろんメニューなども全て英語ということですが、現在有志による翻訳がすすんでおり、とくに問題はないでしょう。思わず吹き出しそうになるブラックユーモアも健在です。ストーリーは二の次にしてゲームを進めるだけならば、簡単な英語の指示が分かれば問題ないです。
メインミッションのほか、今作もサイドミッションが豊富に用意されており、内容的には盛り沢山と言っていいと思います。マルチプレイもありますが、Wi-Fiでは対戦できません。これは実現されていたらかなり面白そうだったので、とても残念です。
DSなのでグラフィック的にはそれほどでもないですが、過激な表現はやはりあります。内容的にも犯罪行為を扱ってますから、任天堂ハードということもあり、おそらく日本では出せないんじゃないかと思います。仮に出せてもいつになるか分かりませんし、例によって内容にもかなり規制がかかるでしょうから、それなら今海外版を買うという選択肢もアリなんじゃないでしょうか。
海外メディアでは10点評価だと軒並み10か9の高評価でしたが、その評価も納得の出来です。DSと侮るなかれ、気合いの入った作り込みで、Rockstarならではのセンスの高さとサービス精神を感じさせてくれた1本でした。
私が弁護士になるまで
元フジテレビアナウンサー菊間千乃がフジテレビを退職し、
司法試験に合格するまでを綴った手記。
基本的には司法試験合格体験記。
学習の日々、仲間。
先の見えない不安の中で猛勉強する、
司法試験受験者の精神状態が詳しく書かれています。
ロースクール制度の問題点(大きく違った合格率、伸びない弁護士需要、受験回数制限等)も、
受験生の目線で分かりやすく語られています。
その詳細な記述は迫力を伴って読み手に伝わります。
試験対策の解説もあるので、
実際に司法試験を受験する人たちには相当役立つ内容だと思います。
逆にいうと、
不祥事で会社をやめた元アナウンサーの手記を読みたいという人たちには、
ものたりない。
フジテレビ退職のいきさつについては、
精神的にきつかった告白していますが、
その反省とか事件と弁護士挑戦の関連についてはほとんど書かれていません。
ここは期待はずれ。
強烈な自己肯定と自己主張を感じました。
弁護士という職業を選択するからには、
その選択と不祥事との関連の説明は、
手記を発表する上で、
避けられないはずだと思います。
そこが多くの読者の一番読みたいところ。
その心境が書かれていないため、
生き方に言及した文章が、
すべて嘘くさくなってしまいました。
やりがいがある仕事のために安定を捨てる。
本当にそれだけかなと感じました。
本音を読みたかっただけに、残念です。
さわやかな生き方にはみえませんでした。
未成年 下巻 改版 (新潮文庫 ト 1-21)
主人公アルカージがヴェルシーロフに翻弄されていく物語です。
また作者もヴェルシーロフに翻弄されているように思います。
構成はめちゃくちゃ。でも色んな問題と向き合い、成熟とは何かを永遠に問いていく未成年。
その答えが次作『カラマーゾフの兄弟』で顕在化します。
人によってはカラマーゾフに無理に繋げず、自分の物語を描いていくのも重要です。
ドストエフスキーを神聖化せず、自分の中にあるドストエフスキーを内面にしまって生きていくべきです。