フォグランプ(初回限定盤)(DVD付)
初めてちゃんと聴いたけど、期待通りおもしろいバンドだった。音も声も抜群に耳に心地いい。掴み所のない歌声とメロディー、付かず離れず絡み合う2本のギター、底を漂っているベースのシンプルなビートの上で時折トリッキーに展開してゆくドラム。絶妙なアンサンブルにずっと浸っていたくなる。
OGRE YOU ASSHOLE「フォグランプ」。バンド感溢れる「クラッカー」、リズム展開がおもしろい「フォグランプ」、軽快な「ヘッドライト」と、ギターソロやガツンと来るようなストレートなかっこよさもある。「レインコート」などでは情感溢れる歌も聴こえて来る。
しかし、全体的にはゆっくりと行進しているような、重ったるい空気を常に漂わせている。霧の中というか、雲の中というか、とにかく音に包まれる感覚が続く。ギターのカッティングさえ柔らかい切れ味を響かせる。少々、不気味な感じもする。
かと思えば、モーションカメラのように、景色や時間が凄い速さと密度で流れていっているように感じるときもあるのがおもしろい。気付いたら、断片的な言葉のイメージと残響音だけを脳内に残し、やがて静かに消えてゆく。その余韻が気持ちいい。超気持ちいい。本当に不思議な音世界だ。
長時間のエンドレスリピートにも耐えうる。むしろ抜け出せなくなりそうな異次元のロックンロール。
ただひたすら酔ってしまいたい。
フォグランプ
超名曲「ブルー」を収めたオリジナルセカンド。しかし船山アレンジは今聞くと実にコテコテの70年代という感じです。抑揚のあるリズムやストリングアレンジ。特に5「今はどのあたり」や8「光るメロディー」(ブルーのB面ですね)が象徴的。「ブルー」を含めこの3曲を聴くだけでも価値のあるアルバムです。