百鬼夜行抄12 (ソノラマコミック文庫)
絵が雑な場面があるとか、絵柄が変わったとか確かにありますが、もう
ここまでくればそういうことはいいかな・・・と。ストーリーテリング
の質が落ちたわけじゃありませんから(長く続く作品は、残念ながら絵
柄も変わり、質も落ちたりすことがよくあります。比較すべきじゃない
けどワン・ピースは稀有な存在かも)何より今回は、律と司の絡みが久
ぶりに堪能できて楽しかったです。この二人が絡むとやはり面白いです。
大人の問題
聴くまでは、漫画のイメージとどれぐらいずれているのか不安でしたが、読みながら頭の中でイメージしていた声とほとんど同じなので、びっくりしました。直人など恐ろしいほどそのものずばりです。
しかもセリフは漫画どおりです。絵がないぶん、何か説明を足さなければいけないのかと思っていましたが、それが全く必要なかった。
つまり今市子さんのネームというものは、何も足すことなくキャラクターも状況もすべてを言い尽くしているのですね。聴いていると、そのイントネーションで、記憶の中の絵の表情までヴィヴィッドにたちあがってきます。ここまでネームがすばらしい作家さんだったのだと、知りました。(絵がうまいだけに絵が主力のような気もしていたのです)
さて、ほとんどの役が自分の脳内の音声と同じだったと書きましたが、唯一の発見は、海老悟郎です。ひとくせもふたくせもある屈折した、したたかな感じを、関俊彦さんが演じていて、「病的な嘘つき」と作中で言われているのがなるほど、と腑に落ちました。彼の場合、顔がきれいなだけに、もっと内心を読ませない細くて澄んだ声のような気がしていたのですが、音声ドラマでは表情がないので、内心まで声で演出してえぐりださなければならないのだな、と。
で、彼の存在感は、漫画よりずっと大きくなり、主役になってしまったようで、彼のファンとしてはさらに新たな魅力を発見できて嬉しいです(研修所の原嶋さんに会いにゆくくだりなど、彼のいじらしさの出ているエピソードは今回省かれていますが)。
それにしてもこの名作ドラマ、こうであるべき、といういろいろな枠が壊れて、家族が解体し、世間体が解体し・・・そして登場人物はそういうものを脱ぎ捨てて、どんどん大きな自分自身になってゆくのが眩しいです。女性陣は特に突き抜けていて、がちがちエリートの海老一お兄さんを自在に改造してしまう由美子さん、幼女ながら家族の真実を見抜いているともえちゃん、悟郎と、直人のお父さんの関係を知って、「なーんだ、問題ないじゃない」と一笑してしまう神田さんなど、ほんとうに鮮やかです。
今市子の強くて暖かい世界の原型のようなこの作品、ドラマCDもぜひ聴いてみてください。
ドラマCD 百鬼夜行抄 第2巻~闇からの呼び声~
今市子さんのファンなのでコミックスを読んでる人ならどこから聴いてもいいとは思いますが、2巻の方が一番始めの方のエピソードなのでこっちから聴いても善いかもしれません。主人公の律(石田彰)も1巻よりよく出てくるし、青嵐(井上和彦)がお父さんとして暮らしてる原因も組み込まれていて、コミックスを読んでないと、一寸分りにくいかも知れませんが、あの複線だらけのストーリーを聞き物として良く脚本がまとめられていると思います。司ちゃん(冬馬由美)の痣のストーリーが主だと思うのですが、1巻にも出てくるキャラクターなので1巻の感動的なお話がもっと分りやすいと思います。おまけのチョット怖い話も1巻に引き続きあって声優さんの生の反応が微笑ましいトークで得した気分です。あんまり怖くないけど・・・。
百鬼夜行抄 DVD-BOX
向井理さん目当てに見たのですが、内容にすっかり嵌ってしまいました。
TV放送では7話に少しだけの出演でしたが
DVD-BOXの特別編3話(12話)ではたくさん向井理さんが出演してます。
ドラマCD B級グルメ倶楽部
吉野役の平川さんのお声って、ちょっとまったりしていて最初?と思ったのですが、だんだん吉野のイメージに合ってきて納得しました。
鬼塚役の千葉さんの声は、最初冷たすぎる気もしたのですが、これもまたしばらくすると合致…。
思い入れが強い小説のイメージアルバムって難しいなと思いつつ、このお2人でよかった…というのが感想です。
また、今さんの漫画はBLでも、あまりセクシャルなシーンが少ないのですが、このCDの中でも、その少ないシーンが逆にキラリと光る感じがしました。
特に最終話の最後のシーンは…。あれ?原作のこのシーンもこんなにセクシーだったかなあ…と思ったほどでした。平川さん千葉さんに拍手。
(短いけど、なんかそれがまた納得というか満足というか…)
おまけトークも面白かったのですが、個人的にはB級グルメ倶楽部(3)限定版についていたミニCDのほうのトークのほうがユルくて面白かったです。テーマトークよりも、ダラダラトークが好きなので。これは好みの問題だと思うので、両方聴いてみて欲しいところです。