未来を写した子どもたち(特別版) [DVD]
NY在住のカメラマンのザナは、カルカッタの売春窟に育つ子供たちにカメラを渡し、自由に撮らせる。面白い、センスのいい写真を撮る子もあらわれ、展覧会に出品もする。ザナは彼らを学校に通わせようと努力する。
西洋人がアジアの難しい貧困を前にして「あるべき教育環境」の実現のために奮闘する姿は、これまでにも多く見られたし、いろんなNGOが同じ課題に向けて日々奮闘している。
子どもたちの境遇を目の前にして、放っておけないという活動家のマインドは尊敬するし、何もしない評論家よりも一人でも二人でもいいから彼らの環境を変えようとする努力は評価されるべきだ。
それでも何か心に突き刺さってこないのは、ザナの迷いや葛藤が、どうしても伝わらないことに一因があると思う。
ザナは常に怒っている。子供に教育を受けさせず労働力としてしか見なさない親に、入学申請のための住民票等の書類をなかなか発行しない行政に、親を捨てることができないと悩む子供たちにも。
たしかに怒りは強い行動を生むし、行動だけが現実を変えられる。迷いは禁物だ。
それでも、と思う。
歴史的、政治的、経済的に固定された貧困状況は、怒りだけで打破できるのだろうか?
自分の教育のチャンスを捨てても親を助けようとする思う子供を、怒りだけで学校に通わせられるのだろうか?
NYから来たカメラマンの怒りは、子供たちを幸せにしたのか?
そんなことを考えさせられるというだけでも、ザナへの共感や反発を超えて、見るべき価値のある映画だと思う。
未来を写した子どもたち(通常版) [DVD]
インドのカルカッタ。売春宿で暮らす無垢な子供たち。女の子は売春婦になることを運命づけられ、男の子はそれを世話することを余儀なくされる。決められた人生。そんな悲しい負の連鎖から救い出そうと、ニューヨークで活動する写真家ザナ・ブリスキが子供たちにカメラを与える。使い方を学んだ子供たちは、その純真な瞳に映った映像を次々とかたちにしていく。清廉潔白な心で撮った数々の写真は、胸を張って芸術と呼べる作品群だ。とても感動しました。その写真が展覧会を呼び話題になっていく。一方子供たちを学校へ行かせ、今の生活から脱却させようと奔走するザナ・ブリスキ。数々の書類を集め、子供たちの運命を逸らそうと東奔西走する彼女の姿は心に響きます。他国の人間が他の国の子供たちの人生をどこまで変えられるか。障害となる各々の家庭の事情。子供たちのひたむきな姿と、最後に出る子供たちのゆく道をこの映画で体感し、そして温かく見守ってあげたいと切に思います。