おしん 完全版 少女編 [DVD]
人間というのは過去から学んで生きるのが苦手な生き物だ。
もう既に同じ過ち何度もを繰り返しているというのにまだ気付かない。
過去を直視してそういう時代があったからこその現代が成り立っているという実感が無い方が多い現在、このドラマの語るメッセージはたとえ何十年何百年かかろうと不滅です。老いた人が死の間際に思い起こす古い古い過去の記憶。それを辿る事で物語は終始進んでゆく。
そして一番見応えのある部分がこの少女編。何故なら年少時代の経験を糧に人は生きる方向性が決まってしまう生き物だから。耐えて耐えて這い上がって成功する人。努力が報われず潰れる人。何も考えずに刹那に生きる人、過酷過ぎる現実に絶望して自殺する人、人の世の無常を感じます…。…おしんは初者でした!が貴方はどうですか?
私が一番忘れられない場面、それは俊作がおしんに戦争と争いの本質を説くシーン。何度観ても泣けますね。戦争ばっかりしたがる某国政府の人達は見せると彼らは何と思うだろうか…。
キネマ旬報 2010年 12/1号 [雑誌]
日本の代表的な映画雑誌「キネマ旬報」ではシリーズ企画として「黒澤明から受け継ぐ」を連載してきた。
今号では現在衣装担当ととして活躍している、黒澤明の長女・黒澤和子さんが父・黒澤明から、何を学び、何を受け継いだかを語っておられる。娘から観た黒澤明監督の公私にわたるエピソードが多く紹介されており、たいへん興味深かった。
ちなみに、このシリーズは1月上旬号の野上照代さんの巻をもって終了した。
その他のシリーズ掲載号は以下の通り
第1回 小泉尭史 09年10月下旬号
第2回 大林宣彦 09年11月下旬号
第3回 木村大作 09年12月下旬号
第4回 佐藤順弥 10年1月下旬号
第5回 出目昌伸[前編] 10年4月下旬号
出目昌伸[後編] 10年5月上旬号
俺たちの旅 DVD BOOK 修学院大学編<DVD付き> (宝島MOOK)
自分探しの20代、試行錯誤の生きる姿を、等身大で見せてくれた青春ドラマの名作です。
脚本家・鎌田敏夫(かまたとしお1937年生まれ)の優れた作品は、彼の感性と思想が、僕らの生き方を左右するほどの影響力があったように思う。
高校3年の時、大学生の生活、憧れを見せてくれたドラマです。
それぞれの話題には、「友情って、愛情って、人生って、何だろう?」というテーマを根底において、脚本家の思いが込められている。
それを、僕らは、この「俺たちの旅」で学んできたように思う。
登場人物の紹介と背景など、詳しく紹介されているのが嬉しい。
クロージング・メッセージの「散文」を読むと、その時々のドラマの感情が甦る。
1975年に放送されて、35年の長い年月がたち、このドラマを見て育った大人たちは、成長、別れ、誕生、涙、怒り、悩み、幸せ、数え切れないほどの感情の積み重ねがある。
今、それぞれの「俺たちの旅」の続きがあることを感じることができる。
カースケ、オメダ、グズ六さん、元気ですか。
俺たちの旅 DVD BOOK なんとかする会社編 (宝島MOOK)
このムックは、番組後半の社会人編である。DVDには26話から最終回までの予告編と、グズ六の兄(中尾彬)が登場する第39話と最終回を収録している。本は、時代ゆえ写真が少ないのは仕方ないが、各回のあらすじのほか、脚本家・ゲスト・時代背景・他の青春ドラマ紹介など多角的に取り上げていて読み応え十分。その後作られた3本のスペシャル、さらにエンディングの詩の紹介もうれしい。
「俺たちの旅」はなぜかDVDではレンタルされていないので(ビデオテープの時はあったのに)、手ごろな価格で家庭で楽しめるのはありがたい。できればこのムック方式でも全話発売して欲しい。
武士の家計簿(初回限定生産2枚組) [DVD]
江戸中期より商人がめきめきと台頭し、将軍家は元より全国津々浦々の大名家が火の車であった江戸後期、陪臣も当然のように尻に火がついていた。そんな中のある武士の家庭を描いている。
現代でいうところの会計士にあたる主人公は家の負債を減らすべく、恥も外聞も捨て爪に火をともす生活を家族に強いる。それでも武士としての最低限の心構えだけは捨てない。わが子への厳しい教育、親子の確執、夫婦愛、そしてあらたな時代への変革の波が押し寄せる。
激動の時代を通して、家族の在り方に心打たれる傑作だ。