くじらの親子 (1) (講談社漫画文庫 (く3-1))
簡単に言うと「赤ちゃんと僕」(「花とゆめ」連載)の少女版。
お母さんが2番目の子供が小さいうちに亡くなって、お父さんと3人家族という設定は同じ。
ただ「赤ちゃんと僕」は男の子の兄弟なのに対して、こちらは女の子の姉妹になるというのが大きな違い。
内容も女の子が主人公のため、「赤ちゃんと僕」よりも断然、恋愛の要素が強くなっている。
小学5年生からスタートした主人公の「杏」がラストでは母親になるまで、掲載雑誌がマイナーな「デザート」だったため全10巻で非常に展開が速いのだが、テンポよく話は進む。
意外だったのは杏が結ばれた相手。
普通の少女漫画なら「初恋の相手とくっ付いてめでたしめでたし」という安易なラストで終わるだろうが、この漫画はラスト付近では現実的な展開になり、普通なら報われないまま終わるであろう当初の杏の初恋の男のライバルに軍配が上がった。
初対面では杏は好意的どころか「苦手」「怖い」とすら思っていた関川と中学校の3年間を通して少しずつ心を通わせていくという展開がいいと思います。
杏に彼氏(鮎川)がいることを知りながらも杏以外の女の子のことを考えられない関川の純情。
人の恋には敏感でも自分のこととなると鈍感で、関川の想いに気が付かない杏を見守り続けるうちに、気持ちには気付いてもらえないものの「苦手意識」と誤解からくる「恐怖」は消えて、安心して手を繋げるまでになった。このときに誤解が解けていたことと成就はしなかったものの「告白」で杏に気持ちを伝えていたことが、後の再会時杏の気持ちを変えることに繋がった。
杏にとっては「初恋の相手」でも杏に寂しい思いばかりさせる鮎川が杏の目の前から去ったとき、ずっと自分のことを大切に思い続けていてくれる男性がいたことに気付いた杏。
自分を愛してくれる人の気持ちに応えるのも「ひとつの恋のかたち」なのだと思えるようになったとき、自分を幸せにしてくれる「ただ1人の人」と出会えていたことを意識できるようになった。
不器用な表現しか出来なかった関川も再会後はストレートな気持ちを杏に伝えられるようになったところが成長の証。
関川は「一生大切にする」と誓って杏を妻としたことだろう。
杏は鮎川とは身体の結び付きはなかったので、関川が「初めてにして唯一の男性」となる。
昔、鮎川との肉体関係を「恥ずかしくて想像もできない」と言っていた杏が同じく初めてであったであろう関川と結ばれ、愛を知っていったのだ。
数年後に生まれた2人の間の子供は女の子か?。髪の毛の色から関川の血を引いていることが判る。
亡くなった杏の母親にとっては孫にあたるその子に「くじらの親子」の話をしてあげる杏。
両親の駆け落ちによる結婚から数十年の年月を経て世代を超えて語り継がれていく想いがそこにはあった。
妹・桃の「小さなお母さん」であった杏が本当の母親になるまでのお話。
鮎川を好きになると同時に関川のことも好きになっていた。
2人の男の子に同時に恋をしていたことを後年の杏は懐かしく思い出せるようになっただろう。
きっと娘にお父さんとの恋物語を語ってあげるのでしょうね。
杏は意識していないのだが、実は杏が好きになった2人の男性、鮎川と関川はいずれもお父さんに似ているのだ。
外見が似ているのは「鮎川」のほうだが、内面的に似ているのは実は「関川」のほう。
杏の母・真弓も当初はぶっきらぼうでしゃべらないお父さんを怖がっていたのだが、やがて少しずつ
「本当は怖い人ではない。優しい人なんだ」と知って好きになっていった。
その点でも、出会った当初は関川が怖くて震えていた杏が少しずつ普通に話せるようになり、やがて手を繋いだとき
「自分の心を覆っていた不安が淡雪のように溶けて安心できるようになった」ことと共通する。
これらが無理矢理な印象は受けず、かえって杏を1番幸せにしてくれる相手だったのだと読者に気付かせてくれたと思い、ベストエンドかと。
欲を言えばラストシーンに子供の父親と杏の妹である「桃」も登場させてほしかったことか。
杏の両親が出会い、愛し合って結ばれるまでを描いた番外編の感動は同じ題材で描かれた「赤ちゃんと僕」のそれよりも数段上だと思う。
とにかく作品自体が作者の最高傑作。
兄弟にゃんこスウとクウ
白黒猫と虎猫、仲良し兄弟をゆずりうけた一家が、初めての多頭飼いに、あたふたしたり、うっとりしたり、の日常です。
とにかく絵がまるっこくて可愛いのと、くりた陸さんご自身は関西人でも関西在住でもないようなのに、なぜか猫たちはやたら流暢な関西弁で喋る点、ものすごーく、なごみました。(ご主人が関西出身のようですね)
猫は、毛の柄によって性格が違うといいますが、どうやら本当みたいですね。虎猫が神経質で、白黒が甘えん坊でおっとり。我が家にも白黒と茶虎の兄弟がいますが、エピソードの色々がクウとスウにそっくりで、驚きました。
やんちゃで運動神経バツグンの虎猫と、どんどん太っていく白黒猫、「ほんとうに兄弟なの!?」という感想に、納得。
また、仲良し兄弟が、おでこを「ごっちん」して、ハート形になって寝ている姿にとろけてしまうのも、おおいに納得。
仲良し猫って、なぜでしょう、鏡みたいに左右対称ポーズで眠ることが多いようですね。
「ネタ」としてゲラゲラ大笑いできる要素は少ないですが、可愛い絵と、ほのぼの・やんちゃエピソードに、ひたすら癒される猫マンガです。
給食の時間(1) (デザートコミックス)
くりた陸さんらしい作品だと思います。
摂食障害(味覚障害?)のある未来と未来を取り巻く人々のお話。
主人公未来が、カリスマ栄養士の藤川を中心にして「ものを食べること」を克服して前に向っていく力を取り戻していくお話です。
給食を心から大好きだったと思える人は少ないと思いますが、この漫画を読むともう一度給食が食べてたい!と思うハズ。
銀座タンポポ保育園 (Be・Loveコミックス)
全体的な内容はそれなりにいいと思います。このような環境の人もいる……という面でも勉強になるはずかと!!
こどもも可愛く描かれています。
ただ2話目からでてくる女の子の幼さを表すためかの言葉使いがとても読みにくくイライラしてきちゃいました……
もう少し抑えるか、読みやすい幼い言葉でもよかったのでは……