眠れぬ夜の奇妙な話コミックス ななめの音楽1 (ソノラマコミックス)
主人公の少女こゆるは冬休みにドイツへ渡り、
尊敬する先輩の光子と共に長距離飛行機レースへ参加するというストーリー。
1巻では学校とドイツでのエピソード、そしてレースの途中まで描かれています。
1ページに横長のコマが縦に4つ並び、コマ枠外が黒く塗られている形式の漫画です。
美しい人物描写に加え、背景や飛行機も緻密に表現されています。
品のある台詞回しも印象的で、まるでヨーロッパ映画を観ているようでした。
優しくロマンチストなこゆるを始め、
知的でやや茶目っ気のある女性執事ラウラや
レースに参加するライバルのパイロットまな希など、
登場人物も魅力的で素晴らしかったです。
そしてなにより、物静かですが強い意志を持ってレースに挑む
光子の凛とした美しさが際立っていました。
一読して幻想的な雰囲気に完全に引き込まれてしまいました。
今後のレース展開、こゆると光子の絆、
そして題名である「ななめの音楽」の意味とは?
早くも続きが気になり、2巻を楽しみに待っています。
眠れぬ夜の奇妙な話コミックス ななめの音楽Ⅱ (ソノラマコミックス)
読者となった女性は、戦闘機乗りの意識に同化していきます。
シュレーゲ・ムジーク(ななめの音楽)にもう一つの意味が与えられます。
ドイツや日本の戦闘機がみずからの頭上を行く敵機を狙うためにつくった機銃のことです。
それはモノ自体をも、発射行為及びその音・光等々をも指し示すものでしょう。
作者は寓話を散りばめて、対象とする人物の心理をさまざまな角度から照らして表現します。
作法に従ったうえでの、自由自在な表現であるといえると思います。
そして、予想だにしない形で出現したのは、「戦争」という行為の持つさまざまな性質の中の、ほんとうに特別な一握りの細やかな性質の抽象化なのです。
たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)
まず邦題がいいですね。
SF好きなら共感すると思うのですが、ぐちゃぐちゃにならずに明確に愛する友達のことを考え、愛するたくさんの人々を考え、冴えたままたったひとつのやり方に突っ込んでいく。
一見非情なようで、最も純粋な愛情を感じます。それ故に感動できました。
観用少女【完全版】 明珠 (コミック愛蔵版)
文庫版を持っています。なので、
「完全版…うーん、どうしよう」
そんな状態だったのですが、店頭で実際に見たとたん、
ころっといってしまいました。
文庫版、コミック版をお持ちの方、高いと感じられるのは確かですが、
このサイズで出会うプランツたちは、また格別の愛らしさ、美しさです。
装丁の繊細さ、凝り具合、さらにはカラー原稿も有りと、
まさに「愛蔵版」の名がふさわしい出来になっています。
「安くお求めになられますと、奇妙にその分お気持ちまで
お値引きされてしまう」ものですし、ね。
そして、これから観用少女を読んでみようかという方、
せっかくコミック未収録作もあることですし、
迷わずこちらをおすすめします。
初めて読む観用少女がこの愛蔵版だということが
うらやましくなるくらい、素敵に仕上がっています。
個人的に、今回の収録作の中では「空をとぶ夢」が一番好きです。
夜香で「メランコリィの花冠」を読むのがとっても楽しみ。