ホームレス博士 派遣村・ブラック企業化する大学院 (光文社新書)
博士号を取得しても大多数の人が正規の就職を得ることができない。
それは、大学教育機関の仕組みそのものに歪みがあるからである、という主張の本。
日本という国の国益を考える際、技術や知識に優れる博士号取得者を量産し、彼らに適切な仕事をしてもらう、というのはとても合理的なことだと思う。
しかし、量産するだけして、生活を保証するようなまともな仕事はないといういびつな構造になっていることにはっとさせられる。
そのことに気づけたのは本書を読んでよかった点である。
第一部は上記のような感じなのだが、第二部からちょっと語り口が変わってしまったような気がする。まるでお坊さんが説法するかのようだ。「ご縁」という言葉が多用されており、違和感があふれる。
高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)
ニートやワーキング・プアといった問題は、「本人の努力が足りない」みたいに、とかく本人の責任に帰属されがちなように思われる。
しかし実際のところ、時代背景や社会制度の影響はとんでもなく大きいと思うわけだ。
大学に入り、そこからさらに勉強を重ね院に進学し、遂には博士号をゲットしたとしても、
待ち受けているのは就職難とそれに伴うワーキング・プアとしての人生。
本人の努力が足りなかったのか?
いやいや、努力は人一倍続けていたのだ。それでもこの現実。
普段はあまり知る機会のない「博士」の実情は、思っていたよりも深刻なものだった。
著者は研究員として働いているようだが、その状況で自らの業界を批判するのは勇気のいることだろう。
それだけでも価値があることだ。
一方で、著者が「環境」の影響を重視している点については賛否が分かれるところだろう。
大学院生ともなれば、年齢的には充分すぎるほどの「大人」であるのは間違いない。
自分の意思と判断で行動が可能となる代わりに、その責を負うのも自分自身である。
だから、「本人の努力が足りない」という主張はそれなりに、直観的には理解が出来るのだ。
しかしながら「本人の努力」に全てを帰属させることで、何が解決するのかという点において疑問がある。
「で、目の前の困っている人をどうすんの?」という問題は残り続ける。
著者の主張はむしろ、偏りがちな「自己責任」に対抗するための、「環境」という視座を
提示していると見ることが出来るのではなかろうかと思った。
努力も環境もバランスが大切なのはもちろんなのだけど。
現役院生や、進学希望者は必読。読んで知ること自体に意義がある書籍でしょう。
狂い咲きの花 (1) (Wings comics)
確かに絵は変わりましたね。
でもやっぱり水月博士先生の持つ独特な絵と話は見事です。
悲愴感がヒシヒシと感じる作品です。あと愛も感じまくり…
でも私は読んでいるうちに絵は気にならなくなりました。
話の世界にのめりこんだからでしょうか…。
今4巻まで読んでますが、絵の変わったのは特に気にならないです。
今やこの絵が普通です♪後の巻になるにつれ面白いと私は思うので、
できれば読んで欲しいな〜とは思いますよ。
(好みがあるのでイチガイにはいえないですがね…)
不純 (Feelコミックス)
…っていいですね。
恋愛ものですけどベタベタしてません。
美人教師との生徒の恋愛が軸ですがそこが書きたい訳ではないように感じます。
酔って帰ってきて廊下で寝てしまうような桜さん。
でもなぜか格好いいです。生き方ですかね。真っ直ぐな…
終わり方もめちゃくちゃ良いです。
なにかひっかかったら読んでみることをお勧めします。
狂い咲きの花 (5) (Wings comics)
<ばく>でこの作家さんに魅せられ、手に取ってみました。
三日前に読み終えたのですが、未だに胸が締め付けられるようです。ラストシーンはもちろん、全巻を通してこんなに切ない場面てんこ盛りな漫画は初めてなんです。
眠さを我慢しながら徹夜して最終巻を読んだ漫画はそうはありません。(多分<バナナフィッシュ>や<ベルばら>以来なんじゃないでしょうか、、、)
このような、虚ろな目をした人物の手足が極細で長い絵柄は、スタイリッシュではある反面
キャラたちが始終無表情のままのが多いと思い込んできましたが、この作家さんの絵はとても表情が生きています。(中には無表情な登場人物もいるという感じです。)
ただ、星が4つになったのは、神への神秘感がなくなってしまう展開が私としてはとても拍子抜けなことでしたからです。 急に世界観がSF的になるのはどうかと思います。 同じ結末に辿り着くにもなにか他に方法があったのではないでしょうか。
でも、これはあくまでこの5巻への厳しめの評価であり、作品全体はいつまでも私のベスト10内に残ること間違いありません。