クイーン・オブ・エジプト [DVD]
ハルベリーの魅力もさることながら、物語の”現代的意味合い”が、浮かび上がってくる。有名な”ソロモン”を題材に、王と王妃の恋愛を描いているが、作者の”社会性”をも感じられた。日本人には、あまりピンと来ない中東情勢であるが、ひとつの解決策をこの作者は、提供しているのかもしれない。テレビドラマ的なフイルム感はあったが、”生(性)”と”社会性”を併せ持った洗練された佳作に思えた。余談になるが、現在の日本の監督の中で、神話をこれだけ還元できる人は、果たして存在するのだろうか。(^○^)
ニューイヤーズ・イブ Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)
ただキャストが豪華なだけのラブストーリーとテレビCMとかを観て思っていたけど、違ってた。
さすがに監督はゲイリー・マーシャルだけあって、男女の8つのエピソードがよく描かれている。少し散漫な感じもしたけど、8つもエピソードがあるのにここまで視聴者をひきつけるのはさすがラブロマンスの名手。
NYが舞台なだけに華やかなイメージの映画。そこには恋人同士の愛、家族との絆、人生のシビアさ、と様々なテーマがあり、心温まるストーリーだった。
「人生は厳しい」というスタンスがベースにあるので感情移入しやすく、とてもハートに日々おくものがある作品だった。
キャストはとにかく豪華でいつもとはデニーロをはじめ、ヒラリー・スワンク、ハル・ベリー、ザック・エフロンなどなど。あと『Glee』のレイチェルがアシュトンカッチャーと共演していたけど、歌があまりにもうまくて、このエピソードは素晴らしかった。デニーロの話とともに、何度もブルーレイで観たい。
クイーン [DVD]
農園の子(白人の農場主と黒人の女奴隷との間に出来た子供)とアフリカ系アメリカ人のハル・ベリーの出自がリンクするような、見ごたえのあるTVドラマ。
まさか、ハル・ベリーはこれほどの苦労は味合わなかったろうが、今のハリウッドだってアフリカ系とかアジア系の俳優に対しての差別は皆無ではないと思う。
このドラマに出演した若きハル・ベリーの勇気に拍手を送りたい。
南部アメリカの農場主の白人男性と機織小屋の黒人奴隷の間に生まれた『クイーン』が、南北戦争の後、奴隷解放された後もさまざまな偏見、差別と対峙しながら生きて行く。
南北戦争後、衰退する屋敷を飛び出して北部を目指すのだが、黒人への差別は根強く、さまざまな障害にぶち当たる。
肌の色の比較的白いクイーンは白人になりすますと、白人男性からプロポーズされるのだが、自分が黒人であると告げると相手の態度が豹変、レイプされて純潔を奪われてしまう。
路頭に迷って黒人たちの集落にたどり着くと、『白人!!』と虐げられる。
生活に窮したクイーンは、敬虔なクリスチャンの年老いたオールドミスの姉妹の家でメイドとして働き始めるが、父無し子を産むと、堕落した売女とののしられ、魂の救済と称して、オールドミスたちから赤ん坊を奪われそうになり、そこを飛び出す。
次ぎに、別の白人の家で乳母として働くのであるが、そこの主人はKKKの白人至上主義者であり、街で偶然再会したクイーンの赤ん坊の父が黒人たちの指導者であったために、KKKに吊るし首にされたうえにオイルで火をつけられて惨殺されてしまう。
絶望の淵に震えながらも、北部を目指すクイーンは、ミシシッピ川の渡し舟の船長の計らいで、第三の屋敷にメイドとして出る。
そこの主人は『奴隷を持った奴隷制度反対論者』であり、白人としては珍しく黒人蔑視のない優しい人柄であった。
そこでも、クイーンは謂れなき黒人差別に敢然とした態度を貫き、周囲と摩擦を起こしてトラブルメーカー扱いされるのであるが、心優しい主人に諭され、縁あって渡し舟の船長と結婚(船長は再婚)、やっと自分の『愛される場所』家庭を持つに至る。
幸福な奴隷小屋での少女時代と母、祖父の死、南北戦争と敗戦、農園の没落と奴隷解放、それに伴う生活不安。
90分の3話構成だが見ごたえのある骨太のドラマとなっている。アレックス・ヘイリー氏の母方の家系の物語だそうだが、凄まじいまでの黒人差別に心が熱くなる。南部の綿花の農場では、黒人はまるで家畜のような扱いであり、気に入らなければ鞭打ち、文字を覚えることも違法なのである。
女の黒人奴隷は農場主の格好の性の捌け口として描かれているが、こういうことは普通に行われていた悪習だったのだろう。女房連中も主人のそんな行為を黙認する描写がある。
クイーンの母と農場主との間には心の交流があり、深い愛情で結ばれているように描かれているので観ているものは多幸感に包まれるのであるが。