ミニマル・サウンド・インテリア~Sweet Afternoon~
このCDのページを見る方は極々まれだとは思うのですが、隠れた傑作だと思います。21世紀向けのインテリアミュージック集ということで、1日の流れに沿った「朝・昼・夜」の3部構成になっており、今作は、「昼」がテーマになってます。1日ぐらいは一人でずっと家にいたい日もあるものです。昼食が終った後は、この1枚が演出してくれます。きっとゆとりと寛ぎの時間をあたえてくれることでしょう。
昼食の後のTea Time
開け放たれた窓から窓へ爽やかな風が吹き抜けていく
白いカーテンが柔らかく揺れている
何処か遠くから聞こえてくる子供達の遊び声
伴奏は風にそよぐ木々
何気なくとった本を片手にソファーに寝転ぶ
やがて訪れる微睡(まどろ)みの時
そこになくてはならないのは甘い音色の音楽
ブックレットから、ちょっとした文章にも惹かれました。
琉球からみた世界史
突然ですが、日本は世界の中にある一国です。また、沖縄県は、明治時代以降、日本の中の一つの県にになりました。
このように、世界から日本を、世界から沖縄を、さらには日本から沖縄を考えるような、いわば大きな枠組みから小さな枠組みを考えることは、案外簡単に想像できるのではないでしょうか。
では…その逆に、沖縄から日本や世界を、また、日本から世界を考えることは果たして出来るのでしょうか?
本書『琉球からみた世界史』の一番の目的は、まさにそこにあります。
タイトルの示す通り、この本は、果たして琉球(史)から世界(史)が考えられるのか(みえるのか)ということを、いくつもの方法を用いて検証しようとします。そしてそこから、国際関係を理解するための論理(ロジック)や普遍性を導き出そうとするのです。
例えば、琉球王国は17世紀以降、日本の島津氏や中国王朝(清朝)との間に君と臣という関係を築きます。臣である琉球王国は、正月の挨拶や貢物を捧げるために、君である島津や中国に赴きます。これを「朝貢」と言います。
琉球は19世紀に至るまで、この「朝貢」を通して君の国との国家間関係を安定的に維持していくのですが、では果たして、琉球の他にこういった関係から国家を維持してきた所は存在するのか、それとも、この形は琉球特有のものなのか等を、他国(本書では主にタイ)の事例と比べて検証していきます。
他にも、中国へ渡った琉球人のことや、16世紀以前の琉球王国と日本との関係、『おもろさうし』から考えられる歴史像、さらには、浦賀来航前に琉球に立ち寄ったペリー達の琉球での行動を通して、「琉球」から「世界」を見ていきます。
今まで、世界史から日本史や琉球史をみるような、大から小を見るというやり方は案外なされてきましたが、さて、今回のような小から(特)大をみるというような試みは果たして成功するのでしょうか。
その答えは、本書を書いた人間ではなく、本書を手に取り、本書を一通り読み終えてくれた読者の判断にゆだねられていると思います。学問とは案外、そうやって進歩・発展していくものなのではないでしょうか。
序 三谷 博
1章 「キカイガシマ」海域の考古学―「境界領域」としての奄美群島 高梨 修
2章 古琉球をめぐる冊封関係と海域交流 村井 章介
3章 久米島と琉球国―久米島おもろの世界 吉成 直樹
4章 ラタナコーシン朝初期シャムにみる「朝貢」と地域秩序
―「まるで琉球のようだ」(伊藤博文 一八八八年一月二十三日) 小泉 順子
5章 鄭秉哲の唐旅・大和旅―皇帝と話をした琉球人 渡辺 美季
6章 琉球と朝鮮の儒教 澤井 啓一
7章 ペリー艦隊の琉球来航―西洋の衝撃と対応をめぐって 真栄平 房昭
8章 世界史からみた琉球処分―「近代」の定義をまじめに考える 與那覇 潤
あとがき
地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン [DVD]
1972年3月、小学5年生だった僕はこの映画を観に行くのが少し恥ずかしかったです。しかし地球攻撃命令という言葉にカッコ良さを感じて父に連れて行ってもらいました。結果劇場で観る子供時代最後のゴジラ映画となりました。今いろいろな資料に目を通すと当時の制作現場の苦労がわかります。時代が過ぎて希少な宝物と化した作品でしょう。
WE 11 The Itabashi Fumio Orchestra
板橋さんの演奏にライブの場で触れて涙を流す経験を持つ人は多い。
私もその一人である。
新作のアルバムを聞いて、即座に落涙ノックアウトされたのはこれが初めてである。
5曲目のCycling Bluesは、愛用の自転車に捧げるとのことだが、格闘の日々ともいえる音楽家人生を歩んできた自身に捧げるかのような優しさを感じる。
11曲目の、ファンにはおなじみのFor Youの、ふだんよりややスロー気味に、また低音を強めて重厚に演じられる様子に、板橋さんとメンバーの思いが伝わって来る。
アフリカやモロッコを近年旅行された時につくられた曲も力強いアレンジで展開され、「ジャズミュージシャン」の枠では語れない板橋ワールドを展開して楽しませてくれる。
また、ジャケットの絵とライナーノーツを画家の堀越千秋さんが手がけられていて、楽しさを増幅してくれており、内容を象徴するような、自由な精神への賛歌となっている。
それにしてもどうだろう。ジャケット裏面の写真のなかのメンバーたちの表情は!
大きな仕事を真剣にやり終えて、その成果に満足している様子がじんじんと伝わってくる。