八雲立つ 第1巻 (白泉社文庫 い 1-18)
出雲の居合道宗家不椎神道流15代目の闇己君と、平凡な家庭で育った七地君との古から続く縁に纏わる物語。
彼らの目的は、7本の神剣を集め千七百年も出雲に巣くうスサノオノミコトの呪詛(念)を昇華する事。
闇己君は万物に宿る大いなる自然の"気"を操るシャーマンであり、
一方で負のエネルギーである"念"を心地良く感じ、闇に身を委ねる部分を持つ諸刃の剣のような青年。
七地君は人が良いくらいしか取り柄のないような、おおらかで世話好きな青年。
彼のみが闇己君の闇を払拭する光の存在である。
これは古代での繋がりが意図するところ。
こんな二人が現代で出会い深く繋がるきっかけは、49年に一度の出雲の秘祭「神和祭」でおこる事件です。
この最初の出会いの場面が、もう一度最後に出て来ます。
物語は「現代」と「古代」が交錯しながら進み、最終巻で繋がり哀しみを伴う結末へと…。
しかし、何とも爽快な気持ちにさせてくれました。
一筋の光の煌めきを残し、終わる事が惜しまれる作品です。
【追記】
「古代編」では『古事記』『日本書紀』等から引用されたエピソードもあり、
設定は違いますがオオクニヌシ(オオナムヂ)、スクナヒコナも登場します。
古代出雲王朝が好きな方も楽しめるかもしれません。
※ある時を境に文庫本版とコミック版のレビューが合体したので下記に全巻数を明示しておきます。
◆文庫本:全10巻
◆コミック:全19巻
八雲立つ [DVD]
コミックで全19巻の、1巻目がDVDとして収録されています。刀の研磨を生業としていた祖父の形見の太刀を奉納しようと、大学生の七地健生が、演劇の取材として先輩に同行して出雲を訪れるところから話は始まります。代々巫覡(シャーマン)を司るという、旧家の跡取りである布椎闇己との出会い。七地が宗主譲りの秘密の祭祀を目撃してしまったことから起こる、古事記の太古にさかのぼる出来事は、物語の始まりにしか過ぎません。
私は、このDVDを先に見て、原作全巻購入する羽目になりましたが、どちらが先でもそれぞれの良さがあり、これ一巻だけでも十分楽しめます。
キャラクターデザインも、ほぼ原作通り。闇己がやや甘い顔立ちに思えますが、シャープな瞳は原作のイメージを損ないません。健生のほんわかとした雰囲気も良く出ています。原作のコミックと違って、ギャグタッチの崩れた顔は出てきませんが、その分全編綺麗に仕上がっています。闇己が七地との対面で七地を睨む場面、霊を浄化するところや「気」を憑かせ巫覡として顔が変化していく場面は、アニメならではの綺麗で迫力ある映像に仕上がっていてお気に入りです。
七地が童顔で、闇己と同じ高校生に見えるという原作の設定があるからかもしれませんが、時々話し方があまりにも舌足らずで少々気になります。でも、優しく、ちょっととぼけた感じの声はぴったり。闇己役は関智一さんの声は、原作を読んだ後だとイメージよりソフトに感じますが、素顔はまだ16歳の高校生という設定に合っているかな。
ポーランドまで行って録音し、国立ワルシャワフィルがホール演奏したというBGMが臨場感溢れていて盛り立ててくれます。エンディングが、音楽とクレジットだけというのは寂しすぎ。イラストでもいいから、ちゃんと画像を入れて欲しいところです。
ミステリー民俗学者 八雲樹 DVD-BOX
私は実は今回の「八雲樹」で光博さんを知りました。
もともとコミックの方を読んでいて、それがドラマ化されるというので
全く“先入観”というか“基礎知識”なしで“光博八雲”に対面しました。
結果・・・最高に面白かったです。
その勢いで今回のDVDを購入しましたが、感想としては「買って良かった」です。
何よりも音質がいい。映像が綺麗。
まあ、個人的な好みが左右するものですが、同じように感じてくれる人は決して少なくないと思います。
どうかお試し下さい。