病気がみえる〈vol.5〉血液
初めてこのシリーズを買いました。カラーなので金額はそれなりにお高いのですが、それ以上にイラストで描かれた内容はわかりやすいです。血球や人物(苦しんでいたりしますが)の可愛らしさも興味をひきます。
化学療法を学ぶにあたって血液がんは切り離せないのですが、教科書を読んでも小難しい文章では全くイメージがつかず困っていたところでした。
この本では基本的な「血液とは」というところから、各疾患の詳しい症状・検査所見・治療法まで取り扱っています。関連する用語は関連ページを記載してあり、この本の中で説明が完結します。血球の状態や患者の状態などもイラストで描かれているので、暗記するにも映像で覚えることができます。
本当に詳しいところは専門書でなければ分からないかもしれませんが「血液がんは苦手…」という方の入門書としては十分なものだと思います。
学生さんはもちろんのこと、就職されてからの復習・異動にあたっての再学習にもお勧めします。
本田美奈子.クラシカル・ベスト~天に響く歌~(DVD付)
本田美奈子さんが38歳の若さで、急性骨髄性白血病で急逝されてから3年が過ぎようとしている。
私はこれまでは、本田美奈子さんのあまり熱心なファンとは言えず、アイドル時代も歌のうまい子だなと思った程度で、ミュージカルやクラシック(クロスオーバー)に取り組んでいるという噂を聞いたときも、“歌うこと”に対する彼女の意欲と熱意に賛嘆しつつも、なかなか聴くチャンスがつかめずに時間が過ぎてしまい、そして悲報に接することになってしまったが、それをきっかけに聴くのも何だか残酷な思いが捨てきれずにまた時間が過ぎてしまった。
最近やっと気持ちを整理して、彼女の遺してくれた作品に接することにしたのだが、このアルバムを聴いて、そのあまりの美しさ、特に清純な高音の驚異的な伸びにしばし言葉を失った。ありきたりの言葉だが、もっと早く聴かなかったことがあまりに悔やまれる。
このアルバムは、彼女の『Ave Maria』『時』『アメイジング・グレイス』の3枚のクラシック作品からセレクトされたベスト盤で、新たに日本語版が収録された“ゴッドファーザー〜愛のテーマ”以外はすべて再録だが、“アヴェ・マリア(Ave Maria)”、“アメイジング・グレース(Amazing Grace)”、“タイスの瞑想曲(Meditation de Thais)”等、珠玉の作品が並び、中でもサラ・ブライトマンそしてキャサリン・ジェンキンス等が取り上げて有名な“私のお父さん(O mio babbino caro)”、“タイム・トゥ・セイ・グッドバイ(Time To Say Goodbye)”が絶品である。サラ・ブライトマンあるいはキャサリン・ジェンキンスなどの歌唱では、西洋人らしく豊かで包み込まれるような表現(それはそれで非常に心地よい)が、この本田美奈子さんの歌では、あくまで日本的な清純な歌声に心を洗われるようで、深い感動に誘われる。本田美奈子さんの歌声は彼女の魂がそのまま歌っているかのようだ。
日本語版が収録された“ゴッドファーザー〜愛のテーマ”と“この素晴らしき世界”も絶品で、特に後者の「握手したい、元気ですか?」のフレーズでは、彼女の生きることへの熱いメッセージが伝わってくるようで、心が揺さぶられる思いがする。
最高は“ジュピター”(歌曲としての原題は、I Vow To Thee My Country)で、何度聴いてもふと涙ぐんでしまうほど。これほど人に生きる勇気を与えてくれる歌唱というものに、そうたびたび出会えるものではない。
以前、平原綾香さんが震災の被災地でこの曲を歌って話題となったことがあった。ここでのレビューでは、これについての否定的な意見も見られるが、もし本田美奈子さんが元気だったなら、きっと彼女がこの役割を果たしたことだろうし、平原綾香さんがその遺志を継いだと思いたい。そして、もし本田美奈子さんが元気で活躍を続けていたなら、あの“千の風になって”で有名になった詩の“Do Not Stand At My Grave And Weep”(日本の曲ではなくて、イギリス版のほう・・新井満さんごめんなさい)なども、ぜひ彼女に歌ってもらいたかったもののひとつだ。きっと、もっと多くの人の心に生きる勇気を与え続けてくれたことだろう。
つくづく、惜しい人を失ったものだと思うが、彼女が遺してくれた歌は、これからも私たちに感動と勇気を与え続けてくれることだろう。
がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」
食事、運動、心の持ちようなど広い視野からガンに対する対策を述べていてとても参考になります。
ガンになった人が読んで役に立つのは当然のことですが、
ガンでない人も読んでおくと、どのような生活習慣がガンを「育む」ことにつながるのかがよくわかって、とてもためになります。
どの章からでも、自分の興味のあるところから読めます。
私は第四章のガンに効果のある食物から読み始めたのですが、
いきなり著者がチベット亡命政府のあるダラムサーラの話しから、チベット医学の話しに及んでいたのには驚きました。
私自身もダラムサーラに住んでいたもので、この個所を読んだ時はのけぞりました、、、。
ガンに関しては、この本とあわせて「乳がんと牛乳」を読むことをお勧めします。
また食に関すること全般でしたら、「エコロジカル・ダイエット」がお勧めです。
自分のブログでも何回かに分けて、「ガンに効く生活」を紹介しました。
印象に残ったところはスキャナに取り込んでアップするなどしてあります。
良かったら訪れてみてください↓
彦兵衛のブログ 『がんに効く生活』
http://mshiko.blogspot.com/2009/04/blog-post_25.html
ミス・サイゴン 日本公演ハイライト盤
2012年夏、『ミス・サイゴン』は新演出になって全国ツアーを始めた。東京公演のあと旅に出たが、その皮切りである広島公演を観てきて、このレビューを書いている。新演出といっても、舞台装置がツアーに耐えられるように(帝劇や博多座以外にも収まるように)規模縮小され、そのぶん映像演出が増えたのが大きな改変で、歌やストーリーそのものは変わらない。
というわけで、このアルバムは広島公演のロビーで購入した。Amazonではもう在庫が尽きそうな感じだが、ツアーでは段ボールにどっさり入れて売ってあった。値段は定価…と言いたいところだが、消費税3%のときに作られたものを5%で売ってるので、微妙にややこしい価格設定。Amazonの「在庫あり」より200円ちょい割高ぐらい。ちなみにフルヴァージョンの2枚組アルバムもその横には置いてあった。
ハイライト版の本作は、日本初演時のキャストで録音されている。7曲入りで25分程度。最初のオーバーチュアは30秒ぐらいだから省くとして、6曲が収録されていることになる。しかし、そのうち2曲が別々のキム役による「いのちをあげよう」。結局、タイトルでいえば5つしか収録されていないというわけだ。
うーん、それはそれでまあいいとして、クリスの「神よ何故?」あたりは入れるべきじゃなかったのかなあ。それでもエンジニア役の市村正親が歌う「アメリカン・ドリーム」が聴けるだけで、やはりうれしい。さすがに声が若い。ジャケット裏に載っている顔写真も40歳ぐらいで若い。“悲劇ミュージカル”ともいうべき『ミス・サイゴン』を、その突き抜けた陽性で20年も牽引してきたのかと思うと、恐れ入ります。
無菌病棟より愛をこめて
定期的に加納さんの新作をAmazonでチェックしていて、この本を見つけました。
「今回は病院が舞台のお話かー」と購入したところ、ご自身の闘病記と知って、愕然としました。想像もしていませんでしたので、、、。
内容はご病気の発覚から、入院、最終的に退院されるまでのほぼ毎日を日記の形で綴っていらっしゃるのですが、ご本人の頑張りや大変さはもちろんのこと、ご家族の温かさが本当に良く伝わってくる文章になっています。途中で読むのを中断することは出来ませんでした。
読み終わった後に表紙を見ると、加納さんの人柄の温かさが描かれているようで、改めて泣けてきます。
ご本人はもしかしたらプライベートなことや辛かった時のことを本にされるのは本意ではない部分もあったのかもしれませんが、私はこの本を読むことができて、本当に良かったと思っています。